BOOK
□休日
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「佐助、佐助は居らぬか?」
「はっ、ここに!」
突然の呼び声に短い休息は終わった。
組んでいた足を解くと軽く背を伸ばして、今まで座っていた木を飛び降りる。
うん、我ながら綺麗な着地だ。
スタッと即座に片膝を付くと目の前の大将を見上げながら指示を待つ。
「仕事ですか大将?」
忍に休日なんていうのは無い。
まぁこれが普通なんだけどねぇ〜…。
急な戦があれば参戦し主の仕事の手伝い主の背中を護る。
あとは、密偵や暗殺とか、色々…。
だから仕事の無い短い休みの合間もこんな風に大将や真田の旦那の側にいるんだよねぇ〜
正直この仕事が辛い時もある。
勿論夢見が悪い時だってある。
(まぁ、俺様だって忍の前に人間だしねぇ?)
現れるやいなや単刀直入に聞いた後。
一人忍哲学をする俺を見ながら、ククッと声を立てて大将が笑った。独特の兜を被っていないせいもあってか、いつもより表情がよく見えて……
少しドキッとした。
(あれ?俺様何か変な事言ったか?)
そう思っていると大将が
「流石忍隊の長…と言ったところかのう」
そう言いニッと口端を上げて腕を組む笑った。
「だが残念だが仕事ではない」
俺は、
「あ、真田の旦那の居場所とかですか?」
と、聞いてみると…
「いや…それも違うのじゃ」
「じゃあ―――」
何ですか?と、言う前に、大将が少し照れ臭そうにポリポリと頬を掻きながらこう言った。
「茶屋に、付き添って貰いたくてのぉ」
「へ?」
思ってもみなかった言葉に俺の喉を通って出たのは、それはそれはとても間抜けた声。