BOOK
□負けてもいいぞ…
1ページ/1ページ
忠勝の名は、ただ勝つ、というのを語源として家康に付けられた。
ただ、勝つ……
この名前は負い目になる。負ければ、自分は意味のないものにしかならない…。家康に捨てられるかもしれない……。
だから、ただ勝つ為に彼は戦う。家康の為に戦い続ける……。
「忠勝…」
家康に呼ばれた。
「……」
「負けてもいいんだぞ」
「…!?」
時が、止まった気がした。
「忠勝は、負けても忠勝だ。戦国最強の本多忠勝だ!だから………」
小さき主は笑う。笑って、忠勝の背中によじ登りこう言った。
「ずっとワシの側にいてくれ!」
小さき主の言葉に、忠勝は深く頷いた。戦国最強は、小さき主と小さき主の夢を背負い今日も空を飛ぶ。
(ワシは忠勝を嫌いにならない!捨てたりもしない!だからなぁ…忠勝……ワシの背中をずっと護ってくれ…そばにいてくれ……)