遊魔LONG

□Terminal point ―帰るべき場所へ―  序章
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序章 『Andalusia −迷い込んだ世界−』



欲しい。欲しいの。どうしようもなく欲しいの。



欲しくて欲しくて堪らないモノがあるのに……ワタシには取る事が出来ないの。理由?貴方にはわからないわ。



ワタシがこんなもどかしい事態に陥ったのは、ワタシのせいじゃない。アイツのせいなのよ。アイツは、ワタシから欲しいものを取る権利を永久に奪ったうえ……のうのうと生きているの。今も、幸せに……ね。



こんなことってある?理不尽と思わない?



だから、ワタシは決めたのよ。欲しいものが手に入らないのなら、手に入ってる人たちに意地悪をしてやるって。いいでしょう?だってワタシは不幸なんだもの。幸せな人にどうこう言われる筋合いなんてないわ。



……なぁに?あなたはダメと言うの?



ひどいヒト。さっきまでここにいた小さな子のようね。



理不尽な目に遭う人が理不尽なままなんて、道理に合わないじゃない。なんでワタシばかり不幸な目に遭うの。なんであの子だけ幸せになんかなるの。なんでみんな……悪いヒトも、むかつくヒトも……ワタシを差し置いて幸せになってるワケ?





不公平よ!

なんでワタシだけ不幸なのよ!!

ワタシ、何も悪いことしてないのに!!!

お母さんのいうこと聞いて、ちゃんとその通りにしてただけなのに!!!!





……ごめんなさい、興奮しすぎたわ。



ともかく現実って、どこまでもヒトに冷たいよね。それで、理不尽でどうしようもなくて……生きているのがとにかく辛い場所。そんな世界を変えるため、ワタシだけが幸せになるため……ワタシは、ワタシの世界を作ったの。ワタシが今居る場所、そこがそう、ワタシの世界。



どう?すごいでしょ!ワタシはとってもハッピーで、それ以外のヒトはどこまでもアンハッピーな……夢のような世界なの。



もちろん、これは夢じゃないわ。……現実とは少し違う、現実よ。わかるかしら?……わからない?あら、そう。



まあいいわ。わからないと言うのなら……わからせてあげるわ。



これが夢じゃない事を……今から思う存分に、ね。





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