遊魔SHORT

□ひび割れたring
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ヒナの言葉が頭に鳴り響いている。



『わかるやろ?』
『ああ、やんなぁ……』



マルもわかっとったんや。ヒナが俺を嫌っていたことを。


俺だけ気付かんかったんや。ヒナのホンマの気持ちを。


よう考えたら、俺がヒナに絡む時……すばるも亮もニヤニヤ笑いながらその様子を見てたやん。あれ、今考えたら何にもわかってへんかった俺のこと笑ってたんとちゃうやろうか。


……ちゃうやろか、やない。
そう、なんや。
確実なんや。




(……何やねん、みんなして!!)




わかってるなら、早く言えばええやんけ!いくらチョケるの好きな俺でもな、こんな悪質なドッキリとかせえへんで!?


大体な、後でこういう事実を知るのって……どんだけ辛いか、お前らにわかるんか?



(っ……あほ!!あほーっ!!!)



気持ちの持って行き場がなくなった俺は、ヒナを、メンバー全員を恨みながら……枕に顔を埋めた。




――ピピピピピ!




……しかし、何故か見計らったように携帯が鳴り……枕に埋めていた顔を持ちあげざるを得なくなる。


腹立つな。何か読まれてるみたいで……そう言って舌打ちしたくなる気持ちをぐっと抑え込み、表面は普通の調子を装うと……俺は携帯電話を耳に押し当てた。



『ヨコ、今……外に出れる?』



その電話の相手は、ヒナだった。



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