遊魔SHORT

□ひび割れたring
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次の日、俺はテンションだだ下がりの状態で……空しく町を彷徨ってた。


ああ、ヒナと過ごしたかった。
次はいつ、休みとれんのやろ。


そんな風に考えてたら、いつまで経っても思考は前に進まんのに……未練たらしい本音は理性の言うことなど聞かない。これ以上街を歩いても効果がなさそうだったので、仕方なく、俺は家に戻ろうと踵を返した。万全でない姿をあまり晒していては色々とまずいこともあるからだ。



「……な、マル?」
「信ちゃん、やるやーん♪」



……え。



まさに今来た方向に背中を向け、反対側に一ぽ足を踏み出した時……俺は、信じられない光景を目にした。



「わかってると思うけど、ヨコには内緒やで?バレたらまずいからな!」
「おん、まかしといて!」
「ありがとう。やっぱ、マルは信頼出来るなぁ……嘘つかへんし、約束はちゃんと守るし」
「えー?ほんまに?こっちこそありがとうなぁ♪」



ヒナが、ヒナがマルと仲よさそうに歩いてる……。



(ちょお、待てや!?そりゃ、マルと遊ぶくらい全然普通やけど……なんで俺には内緒なん!?なんでマルもそれに納得しての!?)




疑問と焦りに動けなくなる俺の正面で、背中を向けたまま談笑するヒナとマルの背中が…どんどん遠ざかっていく。



「なあ、まだ時間あるけどどうする?裕ちんのとこ行かんでええの?」
「ヨコのとこは行かん。今、行ったら絶対にあかんねん。うん、マジであかん」
「なんで、そんなに拒否るん?」
「わかるやろ?」
「!……ああ、やんなぁ」



……わかったよ。
俺にも、わかったよ。
決定打を放たれて、やっとわかったよ……



ヒナの口から出た言葉が、頭の中にわんわんと響いていく。


ショックと悲しみで体がふらつく中、それでも最後の力を振り絞り……俺は、帰路へとついた。






ヒナの言葉にショックを受けまくるヨコ。彼の言葉の真意とは、そして、ヒナはヨコを嫌ってしまったのか……
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