遊魔SHORT
□ヒナ祭り。
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今日は三月三日。ひな祭りだ。
世間では女の子のお祭りで……女性達は皆、ひな人形を飾ったり、ちらし寿司を炊いたりするのだろう。俺も、さっき大倉が「俺ら男やけど今日はひな祭りやから☆」と言いつつ、ひな祭りの特別料理として超豪華特製ちらし寿司を作ってくれたのをメンバーと一緒にがっつり平らげてきた。
……そして、ヨコは俺の隣で完全に動けなくなっていた。
「ヨコ、自業自得やけど大丈夫か」
「めっちゃ腹痛い!」
「当たり前じゃ!おまえ寿司を三回お代わりした挙げ句、チューハイ6缶も開けとるやんけ;」
「しゃあないやん……大倉の料理上手いし、ちょうど朝から仕事で腹減ってたんやから!」
「……アホ……」
だからって三杯は行き過ぎだ!そして6缶は飲み過ぎだ!!
いつまでも子供のような事ばかりする裕に……信五は大きなため息をついた。こいつ、本当にメンバー最年長なのだろうか。他のメンツはその場に寝転がっているヨコを俺に押しつけ、ニヤニヤ笑いながら「潰れたヨコの面倒はよろしく♪」と言って帰ってしまったから、彼のアフターケアは信五がするしかないのだが……正直、自分もメンバーと一緒に帰ってしまいたかった。この後、本来なら裕を自分の家に誘って愛を求めるつもりでいたけれど……裕がこんな状態では、期待出来そうにない。諦めがついた時点で早く帰りたかったのに、こうして可能性もないまま……取り残されるのは却って辛い。
ったく、恨むぞヨコの奴……
ーーーーーガサッ
「!?なに?……えっ!?」
ところが、ふてくされて唇を膨らませた瞬間……まるで自分の考えている事を見透かされたかのように、背後からいきなり裕が抱きついてきた。
「……な、……んなん……//」
抱きつく裕を肩越しに見て……信五は頬を赤く染める。その言葉に、裕は答えず……代わりにこう返した。
「ヒナ、今日はひな祭りやんな」
「……?おん」
何故このタイミングで言ったのかはわからなうが、そうだ、今日はひな祭りだ。
「村上も「ヒナ」やんな?」
そうだ、これも何でこのタイミングで言ったのかはわからないけれど……自分のニックネームはヒナだ。本名とは何の接点もないけど。
……え。
え?まさか……え??
「ヒナ繋がりで今からお祭りしよっか。ちょうどええ腹ごなしになるし♪」
わけわからんけどフラグが立ったーーーーー!?
「え?ちょ……うあっ!!」
裕にかけたやった毛布の下に、今度は自分が
入れられ……状況についていけずにバタバタと暴れる身体をがっちりと押さえつけられる。(さっき食ったちらす寿司がかなり貢献しているのだろう……)今思えば、メンバーがニヤニヤ笑いながら自分と裕を残して帰ったのは……全てこのためだったのだろう。
なぜ気付かなかった、俺!ばか!!(涙)
「大丈夫やって。激しくしたら俺も戻してまうから、ちゃんと優しくするし♪」
「そういう問題やない!……ちょ、放し……//」
「放さへん❤(ぎゅっ)」
「……っっっ//」
か、かわいい……けどアカン、誘惑されたら、ほだされたらアカン……!!
「じゃ、始めよか☆」
「!!ちょ、まだ許可は……んっ!」
「…………」
「ふぅ……ん、……っ……//」
ほだされる云々の前に先手を打たれてしまい……もう、信五は抵抗できない。加えて、強引とはいえ大好きなヒトに抱かれることは本当に嬉しくて……気持ちがいい。
「……ヨコ……//」
「ええ?」
「……ん……//」
結局、信五は流れに身を任せ……そのまま、朝まで祭りを続けたのだった。