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□全部
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今年、俺は部長になった。
部長という仕事が大変だという事はわかっている。
だから、その責任の重さに、少しばかりプレッシャーがかかる。
少しだけ、不安だった。


そんな時、御堂は俺を助けてくれた。




「財前ー」


「何や」


「財前、今年部長になったんでしょ?」


「ああ・・・・まあ」


「私、応援してるから。頑張れ!!」




御堂は笑顔でそう言って、俺の背中を押してくれた。


何故だろう。たったそれだけの事なのに。
少し、気持ちが軽くなった。

























それから月日が経ち、俺も部長の仕事に慣れてきた。


ただ、慣れると同時に、それ相応の責任が重く圧し掛かってくる。


――遠山達の力を引き出せるように。
――皆が部活を、テニスを楽しめるように。


それが、自分の役目だと。とても、重荷だった。


そんな時、また、御堂が俺を救ってくれた。




「・・財前!!」


「ああ、御堂・・何や」


「あのさ、部長の仕事って・・・・大変?」


「まあ・・部長やし。大変なのは覚悟しとったから」


「財前、さ・・・・・・・・無理、してない?」


「多少は無理せんといかんやろ」


「でも、無理し過ぎるのも良くないよ。部長の財前が倒れたりしたら、皆困るし・・・・」


「せやけど、部長なんや。他人より無理せなやっていけん」


「だけど・・・・!!」


「・・もう、ええやろ。御堂には関係あらへんし」


「・・・・財前!!」


「・・何や、まだ何かあるんか」


「頑張らなくて、いい」




御堂はそう言って、俺を抱きしめてくれた。


突然の事に、俺も戸惑った。
でも、不思議と安心した。




「私がいる!!私がいるから、だから・・・・あんまり無理、しないで」




嬉しかった。一人じゃないと言ってくれて。




「・・・・御堂」


「何?」


「・・・・・・・・有難う」




全部

(「頑張れ!!」と背中を押したのも、)
(「頑張らなくていい」と抱きしめてくれたのも、)
(全部、君だった)




fin.


→後書き


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