銀刹の騎士
□第二章
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サバイバル訓練が終わり、キラたちは自分の部屋に戻った。
と言っても、キラは部屋には行かず、別の場所へと向かった。
そこは4番隊隊舎だ。
「リディオ」
「ん?何、キラ?」
隊舎には隊長であるリディオしかいなかった。と言うか、キラが来ることが分かっていたので、あえてリディオは一人になったのだ。
「お前、新人たちに余計なことを吹き込んだな?しかも!ニシスと組んだだろ」
今回のサバイバル訓練で、なぜか皆キラを狙っていた。エリックたちもその事に気付いていたようで、不審に思っていた。
「あぁ、その事か。その通りだよ。少しは楽しめたんじゃないのか?」
クスクスと楽しげに笑いながら言うリディオに、キラの額から青筋が浮かぶ。
「あぁ、お陰さまでな!」
「まぁまぁ。けど、ぶっちゃけどうなわけ?」
「何がだよ?」
さっきまでふざけていたのに、急に真面目な顔になるリディオに、キラは眉を寄せる。
「今回の新人。全員と手合わせしたんだろ?」
「………全員ってわけじゃないけど、去年よりかは劣る」
「そう。ま、仕方ないか」
リディオも、今年の新人の質が悪いことを理解している。
「ただし、一部を除いてだけど」
間を開けて言えば、リディオは目を丸くさせた。
「今回残った4番、8番は良かったよ」
素直にそういうと、リディオはクスッと笑った。
「12番隊は?」
すると、キラははぁ、と溜め息を吐いた。
「12番隊は………波がありすぎるから、今後の訓練しだいだな」
「あれは?エリオットとナイト・サイナの弟はどうなんだ?」
一瞬、キラの瞳が微かに動揺で揺れた。それは一瞬のことで、すぐに普通に戻る。
「二人の力が分かるのはこれから行われる任務でだ」
「ふぅん。自分で育てるのか?」
「何で俺が。俺は12番隊の隊長じゃない」
それは、キラの領分をこえてしまう。今のキラは、12番隊預かりの隊員なのだ。他の新人や事情を知らない者は、キラも12番隊の新人だと思っているようだが。
「じゃあさ、俺のとこ来てよ」
「は?」
「新人たちの技術向上をはかるなら、やっぱり強いやつとの手合わせだと思うんだよね」
「それはそうだな。だけど、俺は12番隊預かりの身だから。そうだな、皇帝を頷かせられたら考えてもいいけど?」
クスッと笑いながら、リディオを見る。渋い顔をして唸る。