銀刹の騎士

□第二章
1ページ/23ページ

 サバイバル訓練が終わり、キラたちは自分の部屋に戻った。
 と言っても、キラは部屋には行かず、別の場所へと向かった。
 そこは4番隊隊舎だ。
「リディオ」
「ん?何、キラ?」
 隊舎には隊長であるリディオしかいなかった。と言うか、キラが来ることが分かっていたので、あえてリディオは一人になったのだ。
「お前、新人たちに余計なことを吹き込んだな?しかも!ニシスと組んだだろ」
 今回のサバイバル訓練で、なぜか皆キラを狙っていた。エリックたちもその事に気付いていたようで、不審に思っていた。
「あぁ、その事か。その通りだよ。少しは楽しめたんじゃないのか?」
 クスクスと楽しげに笑いながら言うリディオに、キラの額から青筋が浮かぶ。
「あぁ、お陰さまでな!」
「まぁまぁ。けど、ぶっちゃけどうなわけ?」
「何がだよ?」
 さっきまでふざけていたのに、急に真面目な顔になるリディオに、キラは眉を寄せる。
「今回の新人。全員と手合わせしたんだろ?」
「………全員ってわけじゃないけど、去年よりかは劣る」
「そう。ま、仕方ないか」
 リディオも、今年の新人の質が悪いことを理解している。
「ただし、一部を除いてだけど」
 間を開けて言えば、リディオは目を丸くさせた。
「今回残った4番、8番は良かったよ」
 素直にそういうと、リディオはクスッと笑った。
「12番隊は?」
 すると、キラははぁ、と溜め息を吐いた。
「12番隊は………波がありすぎるから、今後の訓練しだいだな」
「あれは?エリオットとナイト・サイナの弟はどうなんだ?」
 一瞬、キラの瞳が微かに動揺で揺れた。それは一瞬のことで、すぐに普通に戻る。
「二人の力が分かるのはこれから行われる任務でだ」
「ふぅん。自分で育てるのか?」
「何で俺が。俺は12番隊の隊長じゃない」
 それは、キラの領分をこえてしまう。今のキラは、12番隊預かりの隊員なのだ。他の新人や事情を知らない者は、キラも12番隊の新人だと思っているようだが。
「じゃあさ、俺のとこ来てよ」
「は?」
「新人たちの技術向上をはかるなら、やっぱり強いやつとの手合わせだと思うんだよね」
「それはそうだな。だけど、俺は12番隊預かりの身だから。そうだな、皇帝を頷かせられたら考えてもいいけど?」
 クスッと笑いながら、リディオを見る。渋い顔をして唸る。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ