小説
□foreverlove
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のぼり、ノボリ、好き、大好き、愛してる。誰よりも。
でもね、コレは言っちゃいけないんだって。
僕もノボリも、同じ血が流れてて、同じ性別だから。
でもね、僕には分からないんだ。どうしてそれだけの事で想いを伝えたらいけなくなるのか。
どこがいけないの?
世間体とか、常識とか気になっちゃう?
そんなの知らない。なんて思う、言えないけど。僕だってもう大人。理由は分からないけれど、伝えたらいけないのはわかる。矛盾してるかな?
じゃあ、こうしよう。ノボリに迷惑がかかるから。
僕、なるべくノボリに負担は懸けたくないんだ。だって愛してるもん。
ノボリのためだったら嫌いなデスクワークだってこなしちゃうし。ノボリが疲れてたら苦手な家事だって克服しちゃう。
でもね僕の想いは重いから…、
もし伝えたら、ノボリは優しいから断れないよ。僕を傷つけないように優しく笑う。それからきっと、きっと…、
私もです、なんて嘘吐くから。
僕は同性愛者で、ノボリは異性愛者。
僕が異常でノボリが正常。
ずっと自分に言い聞かせてたし、これからもそうするつもり。
いくら考えても隠さなきゃならない理由が分からないけど。
だから自分で理由を作るんだけど。
(あ、それがさっきのノボリに迷惑がかかるってやつだよ)
そうそう、僕は所謂、同性愛者って奴だけど、ノボリにしか興味がない。
なんで男に生まれたんだろう。なんで家族なんだろう。分からないことばかりで、
なんで目からぼたぼたと溢れる液体はさっきから止まることを知らないんだろうとか。
分からないから。僕には、全然。
でもね、辛いとか苦しいとか散々味わったけど、
「クダリ、どうかしましたか?」
ほら、こうやってお兄ちゃんとして優しく声をかけるから。
兄弟とか双子とか家族とか、そういう優しさとか、僕にはとても酷で。
でも、その優しさがなければ僕は生きていけない。ノボリが居なかったら…。
だから、そう。気持ちなんて、伝えられない。
ノボリを壊したくない。優しい、大好きなノボリ。
家族としても、1人の人としても。
「…何でもない。目にゴミが入っただけだよ。」
僕は弱虫でしょうか。
(だって、こんなにも愛してる。)