長編小説

□Gatto-April-
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Gatto 4月

もぞり。もそもそ。

ーぶに、ぐっ

「いたっ」
ほおにかすかな痛みを感じて目を覚ます。毎朝のことだ、慣れていても私には痛い。朝から痛覚に起こされるなんて。
「どいて、ネロ」
「なーぉ」
犯人はわかっている、餌を催促にきた長男猫の“ネロ”だ。私の体に布団の上から乗っかってほおに猫パンチをしてくるのだ…毎朝。

取り合えずネロをベッドから下ろす。寒さに耐えて私もベッドから降りようとすると、布団から白い猫が顔を出した。
「ミャーオ」
次女ネコの“ビアンカ”だ。彼女は毎晩私がベッドにはいるのと同時にやってきて一緒に眠る。まあ、冬だけだが。

「おはよう、ビア」
すりっと手に顔をこすりつけてきたビアンカに挨拶をして立ち上がる。

リビングにいくとすぐさまヒーターの電源を入れ、コーヒーをいれてPCの電源をいれてニュースをチェックし朝ごはんの支度に取り掛かる。もちろん猫たちに餌をやることこも忘れない。そうしないとネロの食事催促の声が煩いからだ。

「じゃ、いってきます」
「みゃぅ」
「〜いってきますっ」
毎朝別れ惜しくも猫に挨拶をして家を出る。

狩野洋一(かりのよういち)、18歳。
今年大学に進学したばかりの男の日常だった。
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