恋を奏でる季節
□02
1ページ/1ページ
学校の帰り道、突然雨が降りだした。急な雨。
でも私は常に、折り畳み傘を2つ持ち歩いているから大丈夫。
「けっこう強いなー…」
ふ、とスタ○の店の前で顔に包帯をまいた女の子(スカートを履いてるから、多分そうだ)とおだんごの女の子が雨宿りしていた。傘が無いのだろうか。
「……」
せっかく傘が2つあるし、1つ渡してあげても困らないだろう。
よし、貸そう。
「ねえ」
「!…な、なんですか」
「この傘使って」
「え」
包帯の子は無言。おだんごの子は驚いたのか目を丸くした。可愛いな…。
「で、でも」
「いいの。2つあるし、相合い傘になっちゃうけど使って」
「あ、ありがとうございます!!」
「…あ、ありがとうございます」
「いいえ。じゃ」
「あ、ちょっ!!この傘はどうすれば…」
「今度会ったときに返してくれると嬉しいな!」
そう。
会話の途中で気づいたのだが、あの女の子2人組は箱庭学園の制服を着ていた。
多分、包帯の女の子は気づいているだろう。勘なんだけどね。
家に着く頃には、大空に虹が浮かんでいた。
続く
(?名瀬さん、古賀さん嬉しそうだね)
(あ、昨日の帰り道で優しい人に傘を借りたんですよ!)
(箱庭学園の制服を着ていたから、また会えないかワクワクしてんだよな、古賀ちゃん)
(うん!)
(ふぅん……)