恋の嵐がやってくる

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※時間軸は前回の話から2週間後です。








Said Kei Munakata






おかしい。


もうすぐHRの時間なのに、嘉穂ちゃんが来ない。


休みなのかと思って、三谷野さんに聞いたんだけど、ケータイも家の電話も繋がらないらしい。

……なにかあったのだろうか。








───キーンコーンカーンコーン……。


───ガラララッ。








「あー、お前ら席につけ。
朝のHR始めるぞ。……の前に、ひとつ報せることがある」






……気のせいだろうか?
胸騒ぎがする……。







「残念なことだが、甘木が親の都合で転校することになった」





─────は?








「本人は残りたがっていたが、無理だったそうだ。皆に最後に会うと、別れにくくなる。と言っていたから、こういう形になった」









嘉穂ちゃんが、



転校?







「じゃあ、朝のHR始めるぞ…」







刹那、目の前のものが全て
真っ白になった。

訳が分からない。
転校?

嘉穂ちゃんが?


──寄りにもよって、別れを言わずに、なんて。









心の底では分かってる。

嘉穂ちゃんは、きっと『さよなら』を言うのが辛かったんだ、と。


でも、此方だって、何も知らされずに、教えられずに、突然居なくなるなんて……。


友達、だったのに……






否、














─────好き、だったのに……。









Said Kei Munakata END








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