忌まわしき遺産

□再会は突然に
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「相変わらず、派手にやってくれるわねェ……」
やってきた人の一人がアヤとソルに向かってつぶやく。さすがの彼女もアヤのやり方にはあきれたようである。
「あら、ミモザさんお久しぶりです、いえこのやり方なら歩く必要もないしスカイダイビングも楽しいかなぁと思いまして……。少しでも早く着きたかったですから」
ちょっとミモザ―――アヤたちが会いに来た女性―――の視線の温度が下がった気がしたがアヤは気にしない。横から今度は少年が口を開く。
「いやぁ、さすがお姉さんだなぁ。ボクもそんなことを今度やってみたいよ。お姉さん、いらっしゃい。」
「おぉ、エルジンじゃないか。それにエスガルドも。久しぶりだな」
エルジンというゴーグルをかけた少年にソルは挨拶をする。
「まぁ玄関ではなんだろう、早く屋敷に上がるといい」
ギブソンの勧めもあって一行はすぐに屋敷へと案内された。
 入ってすぐに口を開いたのはジンガである。
「うへぇー、広い屋敷だな」
「そうですね、ここに二人で住んでらっしゃるのですか?」
そこへミモザの話を以前に聞いたスウォンが当たり前の質問をミモザにしてみる。以前に聞いていた様子だとそうなのだが……
「そういうわけでもないのよねぇ。例の傀儡戦争以来エルジンとエスガルドがここに住むようになったから今は四人かしら?」
えへへ、とエルジンは笑ってミモザの話に付け加える。
「ボクね、派閥に復帰することにしたんだ。もともと事故でいなかっただけだし。で、家を探すにもボクたちお金がないからしばらくの間はこうしてミモザさんたちの家に間借りしてるってわけ」
そうだったのか……。ソルがうなずく。そうしているうちに居間まで案内された、そこへアメルがやってくる。
「いらっしゃい、皆様。カイナやエルジンくんからお噂は聞いています。ようこそいらっしゃいました」
と言って彼女は一行にお茶とお芋のパイを勧める。一行も断る理由がないのでテーブルへと着席する。座ってすぐに口を開くのはミモザだ。
「必要ないと思うけど一応自己紹介しておこうかしら?」
全員の自己紹介が終わったところで、各々思う人と会話をしながら各自お茶とお芋さんのパイをいただく。アメルはソルとエルジンと、ミモザはスウォンとアヤと、ギブソンはジンガとエスガルド、といった風に雑談を始める。お茶が終わったころにギブソンが本題を切り出した。
「えー、それで本件なのだが……。蒼の派閥から依頼が来ていて、どうやら森の調査らしいんだが。最近この森は様子がどうもおかしいらしい。傀儡戦争以前は普通だったらしいのだが終わって以来おかしな状態になってしまったらしい。どうやらメルギトスがばらまいたカスラがどこかに残っているらしい。それを何とかしたい、ということらしい」
「ふむ。というと悪魔が絡んでくるわけですか?」
ギブソンの報告にアヤが質問する。うーむ私にはわからないが……用心したほうがいいだろうなと彼からはお茶を濁したようなセリフが帰ってくる。
「とりあえず、明日ボクとギブソンさんとアメルさんで視察してくるから、お姉さんたちは屋敷でゆっくりしててね」
そういってその場は解散になった。
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