それからの日々

□それぞれの世界で
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 翌朝からトウヤとナツミ、ハヤトはそれぞれ自宅ではなくハヤトの家に集まって宿題を片付けることになった。
「んもぅ、先生なんでこんな面倒な課題を出したわけ?」
ナツミは宿題の内容を見て愚痴をこぼす。
「仕方ないじゃないか、出されたものなんだから」
トウヤも同じ課題をやりながらそう言う。その横ではハヤトガすごい形相で課題に向き合っていた。
「俺間に合うのか……?」
ハヤトはそう言いながら課題を進める。

彼らが課題に追われている頃。リィンバウムでご飯が食べ終わったアヤと護界召喚師は聖王都へと行くためにワイヴァーンに乗って空にいた。
「しかしゼラムに行くのも久しぶりだよな。このあいだアヤといったのが最後か……」
ソルはその時のことを思い出しながら言う。
「そうですね、あの時はなんだか悪魔と戦ったりとか王都に攻めてきた敵を倒したりして傀儡戦争のときさながらだったんですよね」
アヤも同じ思い出に思いをはせながら言う。
「え?あたしたちそんなの知らないし」
「僕も知らないな」
「私も存じ上げませんが?」
ソル以外の護界召喚師が首をかしげる。
「あぁ、俺とアヤがこっちに来ているときに依頼が来たんだよ。聖王都での調査に協力してほしいってな。なんでか俺とアヤの名前しかなかったところを見ると来るのをあらかじめ読んでたとしか言いようがない」
「そうですね、それの関係でジンガくんとスウォンくんと一緒に王都まで行ったのですよ。結局悪魔の大群と戦ったのですが」
「あら、あたしたちもこっちに来てれば力になったのに……」
カシスは残念そうに言う。
「まぁ、何とか二人で対応できる相手だったので。ソルさんがメイトルパの召喚術を使っていたのを見てびっくりしましたが」
「そうだったな、ソルがそう言えばメイトルパの術を使えるようになったんだったな」
「ミモザの家に専門書ならいっぱいあったしな。末っ子はいつでも必死なのさ。兄や姉が優秀なせいで」
ソルは松葉づえをついて前方を眺める。
「あぁ、見えてきたぜ。王都ゼラム」
「僕来たことないんだよね」
「あたしもないけど」
「私もないですね」
「俺だけか、来たことあるの」
「そうでしたね、傀儡戦争の時も私とソルさんしかこっちにいませんでしたし」
「とりあえず、高度下げないと着陸できないぜ?」
ソルが言うので召喚主のクラレットはワイヴァーンに高度を下げるように言う。すぐに雲を全身に浴びて彼らは高度を下げた。
「んじゃ、着陸は前と同じで♪」
「なんでアヤさんは楽しそうなのですか?」
クラレットがソルに訊く。
「前って、まさかあれをする気なのか!?」
ソルは大慌てでアヤを止めようとする。
「私がペンタくんをミモザさんの家の庭に投げるのでみんなでそれをクッションにして庭に飛び降ります」
「ふむ……」
キールはイメージを描きながら言った。
「いや、キール兄様なっとくしている場合ではありません!!」
「やっぱりクラレットも同じ反応してるよ……」
ソルはクラレットの反応を見てうなずく。
「でも、楽しそうじゃない?あたしやってみたいんだけれど?」
カシスがそう言う。
「ちょっとまてカシス姉、俺前にやった時に身の危険を感じたぞ!スライムポットのほうが安全だ!」
「あら、ペンタくんのほうがスリルがあっていいじゃないの。一発ドカンと行きましょ」
「とりあえず、やってみましょうねぇ」
アヤがそういってミモザの家の庭にペンタくんを落とす。ソルは言っていても仕方がないのでそれの上に飛び降りた。
「よいしょっと、すぐに退かないとな」
ソルは着地に成功して玄関の扉をたたきながら言った。
「これでいいのよね?」
カシスが後ろで降りてきてペンタくんを踏んづけて行った。それはそろそろ爆発しそうだ。
「よいしょっと……ん?」
キールが降りてきた瞬間それが爆発した。
「わぁぁぁぁぁぁぁっぁ〜〜〜〜〜!!」
キールは吹き飛ばされて、壁へたたきつけられた。
「ン……いつつつつつ」
「だから危ないって言ったのに……」
ソルは玄関が空いたのにも気づかずに行った。
「あら、ソルとカシスじゃない。それに壁に叩きつけられているのはキール?」
「そうだぜ、新年のあいさつをしに寄ったんだぜ。ちなみに、アヤとクラレットは今そらの上だぜ。よいしょっと」
ソルはたくさんのペンタくんを召喚して庭に並べる。
「ぽんって、なんて。急いで離れませんと……」
クラレットがミモザが見る前で降りてきた。間もなくアヤも降りてきた。アヤが離れた瞬間それが大爆発を起こす。
「うひゃぁっ!ソル、アヤまたしてもド派手にやってくれたわね!!!」
ミモザが信じられないといった顔で二人をにらむ。
「だから、俺は無理やりやらされただけだっていうの!!俺をアヤと一緒にするな!!」
ソルは怒って言う。
「とりあえず、ミモザ中へ入ってもらえ」
「そうしましょうか、入って」
ミモザはそう言って五人を屋敷へと引き入れた。

「いらっしゃい、皆さん。ソルさんとアヤさんはお久しぶりですね」
アメルが声をかける。そこへエルジンもエスガルドとともにやってきて声をかける。
「やぁお姉さんたちおとといは楽しかったよ」
「ヒサシブリダ、勇者タチヨ」
「あら、サイジェントで会ってたのね」
「皆様、あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます」
アヤとソルが全員を代表して新年のあいさつをする。
「ちょうど、お昼ご飯ができたところですよ」
「あ、あたしも運ぶの手伝うわね」
ミモザがそう言って台所へ行こうとしたが、ソルとアヤ、それにエルジンが声をかける。
「ボクが行ってくるよ」
「いや俺が行くぜ?」
「私も行きますよ?」
「エルジンとアヤはともかくとしてソル貴方はここに居なさい。足の骨を折って動きづらいでしょうから」
そう言って彼女はソファーを進める。彼はとりあえずそこへ座った。
「んで、久しぶりよねぇ。その足はどうしたの?」
ミモザは当然のことを尋ねる。
「キミが骨折をするだなんて珍しいことだよね」
「確かにソルくんは元気にはっちゃけてるイメージがあったからね」
ミモザの言葉にギブソンもそうつづける。
「あぁ、俺とアヤで悪魔や召喚獣と戦っている間にな。あまりにも数が多くて大変だったんだよ」
アヤがその時戻ってきて言った。
「ソルさんったら無茶しすぎて死んじゃうかと思いました。すっごいよれよれなローブと折れかけた杖でずっと私を守るために苦手な肉弾戦をしてくれてたんです」
「アヤだって十分満身創痍だったからな。俺は一応こう見えても男だから命に代えてもアヤを守るつもりで戦ってたんだ」
「そこへ助力を頼まれていた僕とクラレットとナツミとハヤトが駆けつけてなんとかソルに応急処置をして一命を取り留めたってわけさ。お前が死んだら悲しむのはなにもアヤだけじゃないんだぞ?キミはみんなにとってのかわいい弟なんだから、死んだらみんな悲しむんだからな」
キールはそう言ってソルの頭をなでる。
「だからぁ、キール兄、かわいいは余計だっ!!!あと人を小さい子みたいに頭をなでるんじゃない!!」
ソルは心底嫌そうにキールから離れた。今度は逆側のクラレットから頭を撫でられる。
「クラレット姉様もだ!俺をみんなして子供みたいに扱いやがって……」
「だって、かわいいんだもの。仕方ないじゃない?」
「カシスじゃないけれどそう言うとこ見てたら確かにかわいいわよね」
「ミモザまで同意すんなよ!!ギブソンはそんなこと言わないよな?」
ソルはギブソンへと視線を向ける。
「いや、意外とそう言うとこを見てるとかわいいなって思うよ。悪い意味じゃなくて」
が、見事に期待は裏切られた。
「わたしも思います。なんだか弟みたい」
アメルも頭をなでる。ソルはみんなの仕打ちに膝を抱える。
「どうして、みんな寄ってたかって俺のことをそうやっていじめるんだよぉ……」
「ソル、ごめん」
ソルのそんな様子にキールが謝る。
「皆さんお待たせです。持ってまいりました」
「あ、ありがとうございます。お客さんを動かしてしまって申し訳ないです」
「ミモザさん、ギブソンさんそっちのソファーのほうで食べる?」
エルジンは料理の皿を手に持っていう。
「あぁ、そうしてくれるか?いつものテーブルだとちょっぴり狭いのでね」
エルジンはそう言われてテーブルへとお皿を置いた。
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