それからの日々

□あべこべ
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「それでええと……とりあえず、全員分の布はここにあるのですが。身長を聞いて回らないといけないのですよ。あとスリーサイズですね」
「スリーサイズかぁ。たしかに腰回りとか肩周りがきついと話にならないものね」
アヤとソル、それにリプレは自室で話し合っていた。
「ちなみにおせちは俺が作ればいいのか?」
「いぇ、確か……あれ?あぁクラレットさんが手伝ってくださることになっています」
「で、アヤとあたしがこっちのキモノとか言うのを作ればいいのね?」
「えぇ、そう言うことです」

「?あいつら何を話し合っているんだ?」
ガゼルはドアのところで聞き耳を立てていたが中からはほとんど声が聞こえない。
「…………しょう?」
「えぇ、……………ね」
「でも、……………………だぜ?」
「それは…………に……すれば……だと思うけど」
「それではそうしましょう」
「ではこれにて解散で」
「じゃぁ、今日はゆっくり休むのよ?アヤ、ソル」
「リプレもな」

「やべっ!!」
ガゼルは慌ててドアから離れようとする。が、ガチャっという音とともにリプレがすぐに出てきた。
「ガゼルじゃない、今から寝るとこ?」
「あ、あ、あぁ。悪いか?」
「いや、別に。子供たちが寝てるかだけ確認しておいてね」
「おぅ、任せておけ」
そう言って彼は子供部屋へといった。

――翌朝。
「アヤ、これでナツミの分は完成か?」
「えぇ、夜通し作った甲斐がありました」
「とりあえず、目につかないところにかくしておくぜ?」
「お願いします」
そうアヤが言った瞬間、ドアがトントンをたたかれる。
「アヤ、ソル、朝ごはんよ。といっても昨日の夜の残ったものなんだけれどね」
「おぅ、アヤ、行くぜ?」
「えぇ、参りましょう」

朝食のテーブルへ行くと後からナツミとクラレット、続いてトウヤとカシス、かなり間があってハヤトとキールがやってきて全員そろった。
「いただきます」
そう言ってみんなが一斉に食べ始める。
「もうすぐ、お正月よねーー」
「そうですね、クリスマスとお正月って意外と間がないですものね」
「そういえば、そんなのあったな」
ハヤトがそう言えばといった感じでつぶやく。
「そういえば、って例年君はいったい何をしているんだ?」
トウヤがその前お気に疑問を覚える。
「え?何って普通にバスケだけど……?バスケやって、カラオケやって……」
「なにそれ、ちっともお正月っぽくないじゃない!!」
「特にしたらいけないってわけでもないだろ」
ナツミが大声を上げるがハヤトは全くどこ吹く風のようである。
「あの、先ほどから気になっているんだがオショウガツとはなんだい?」
そこまで来てレイドがいまさらといった風に聞く。
「あぁ、お正月っていうのはなニッポンで行われる行事で新年がやってきたことを祝うんだぜ。三日あるんだが……」
ソルが答える。
「一日目は初詣とお雑煮とお節料理を食べる日」
クラレットが続ける。
「二日目はたしかトウヤが箱根駅伝がどうとか言っていたけど……みんな見るんだって」
カシスがさらに続ける。そこへキールが言う。
「たしかハツウリがあるからデパチカのフクブクロとかを買いに戦争が起こるとか言っていたな……」
「いや、箱根駅伝は見てない人絶対どこかにいるから……」
ナツミが微妙にずれた認識に突っ込む。
「そして、確か一日は初詣が終わったらたしか……スキーに行く日とか聞きましたけど?」
「いや、クラレットその認識おかしいだろ、誰が元旦からスキー場まで車を走らせるんだよ……」
ハヤトも思わず突っ込んだ。
「それに初売りがあるからって戦争は起こらないからね?戦争が勃発したら福袋木端微塵だから」
ナツミがそこにも突っ込む。
「要は、ベッドで寝てる日ですね」
アヤがまとめる。
「そうだよな」
ソルも同意する。
「それ一番ありえないから……」
ナツミがそれに対して一番がっかりした。
「でも新年早々から早起きする人もあまり聞かないけど……」
トウヤが少しフォローを入れる。
「とりあえず、新しい年が来たことを祝う祭りなのね?」
リプレがそうまとめる。
「祭りじゃないんだけどな。まぁ趣旨はそう言う感じだな」
ハヤトがうなずく。
「しっかし、あれよねぇ。正月なんだし着物を着て過ごしたいよねぇ」
ナツミはコマーシャルで見たエクセレントな着物を思い浮かべながらそう言う。
「キモノってまさか、ナツミ、サムライにでもなるつもりですか?」
クラレットがサムライの衣装がキモノだと聞かされたことを思い出していう。
「サムライいいわね……ってなんでやねん!!女性用の美しい晴れ着のことよ」
「う〜ん……ところで橋本さん身長いくつです?新堂くんと深崎くんそれにキールさん、カシスさん、クラレットさんもお願いします」
アヤがそう言う。ソルが横では紙とペンを持っていた。
「あたしは……確か159だったと思うんだけど……」
「あたしもナツミと同じような感じね158ぐらいだし」
「私は154です」
「俺は167だ」
「僕は171だけど?」
「僕もトウヤと一緒ぐらいかな172だから」
ふむふむといいながらソルはメモをすべてとった。
「ガゼルさんは?」
「あ、あぁ俺なら167だが?」
「了解しました」

ご飯が終わるとすぐにアヤが調査の書類を配る。
「これを、今日の夜までに出してくださいね。受け付けは私たちの部屋ですので」
アヤはそう言って自室へと帰って行った。ソルがその後ろをひょこひょことついて行った。
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