それからの日々

□フラットで
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翌朝。9時のスーパーの開店時間にスーパーへと行き早々とアヤとソルは家からプレゼントも持ってきて電車に乗る。

一方のトウヤとカシスも待ち合わせ時間には早すぎるぐらいで家を出る。が、カシスは寝坊して朝ごはんを食べていない。トウヤは逆に早く起きすぎいろんな所へ奔走していたので少し空腹のようだ。

「おはようございます。深崎くん、カシスさん」
「おはよう樋口さんとソル」
「おぅ、カシス姉とトウヤ」
「おはよ、ふたりとも」
集合時間の30分以上前にどちらも集合場所へとついてしまい、朝の挨拶を交わす。といってもトウヤたちのほうが15分ほど早く来ていたのだが。寒い風に吹かれるのもなんなのでとアヤが提案する。
「近くに喫茶店があるのでそこですこし時間をつぶしませんか?橋本さんはともかくとして、新堂くんは遅刻してきそうな予感がするので」
「いいと思う」
ソルとトウヤも異存はなくアヤの提案に従って喫茶店へと入る。トウヤとカシスは軽食とコーヒーを、ソルとアヤはコーヒーとお茶菓子を注文した。
「いっただきまーす、おなかもうペコペコ」
カシスはすぐにホットドックへと手を付ける。その横でトウヤが少しあきれた顔になっている。カシスの正面にソルが腰かけながらその口の大きさにあきれた。
「おなかが減るのも当然だろう、君は寝坊をして朝ごはんを抜いたんだから」
「そういや、カシス姉は寝坊だったけな……」
「寝坊って言わないわよ。ちゃんと起こされて起きたし、集合時刻の45分前にはちゃんと集合場所に着いたんだから」
口いっぱいにホットドックをほおばりながら彼女は反論する。たしかに早く着いてはいるが……とトウヤも少し食い下がる。
「しかし、朝二人で行く買い出しに僕一人で行かなくちゃならなかったんだよ?僕はカシスに来てほしかったなァ……」
厳然たる事実を指摘しさらに希望を何気なくトウヤが言う。
「まぁまぁ、どちらにしろ早く来れたわけですし……」
「俺たちはどちらも朝飯は食ってきたけどな」
ソルは自分たちと比較してカシスへ向かって言う。
「でも、橋本さんたち時間通りに来るかな?僕の記憶によると橋本さんも寝坊だったはずなんだけど……」
「確かに心配ですけど……クラレットさんが諦めずに起こしてくれますよ、きっと」
「それもそうだね」
「んで、なんでカシス姉(ねえ)は全くコーヒーに手を付けないんだ?」
しばらくたってソルが全くコーヒーに手を付けようとしないカシスに質問する。彼女は少し苦笑いしながら答えた。
「あぁ、あたし猫舌なのよ。熱いの苦手だからこうして少し冷めるまで待ってるの。ソルには言ってなかったっけ?」
「あ、そういえばそうだったな。でも、もう飲みごろだぜ?」
「そうですね、今なら体が温まる程度の熱さですよ?」
ソルに同調しアヤが彼女に飲むように進める。
「……あちっ」
言われたとおりにカシスはコーヒーに口をつけるが彼女にとってはまだ熱いらしい。
「しかし、待ち合わせ時間までもう15分を切っているからあんまり時間はたっぷりないけど……」
まだ時間をおこうとしているカシスにトウヤは時計を見ながら告げる。彼女は仕方なく少しずつ飲み始めた。
 結局彼女は集合時間5分前にコーヒーを飲み終えて彼らは集合場所へと時間前に戻ってきた。戻ってきてすぐにナツミとクラレットが改札から抜けてきた。
「おっはよー!今日は絶対成功させようね!!」
「おはようございます、皆様。遅くなってしまってすいません。今日はよろしくお願いします」
彼女たちは荷物を地面へと置いてそう言った。
「いや、まだ時間前だよ」
「クラレット姉にしては珍しいね」
「おはようございますお二人とも」
「お、あとはハヤトとキール兄だけか」
ソルの台詞に来たばかりの二人が驚く。
「え、私たちより遅いと間違いなく遅刻なのですが……」
「あたしたちがぎりぎりの電車だったし」
「そういうことだ」
トウヤがそう暗示する。
「しかし、キール兄に限って寝坊はないだろうからなぁ……」
「確かに、兄様はソルに続いて早起きなお方。私でさえも寝坊しないのに、お兄様が寝坊するとは思えません……」
「どうせ、新堂よ。あいつ絶対寝坊なんだから」
ナツミがなぜか自信満々に言うが横からクラレットに突っ込まれる。
「ナツミだって、私が起こさないと絶対寝坊して遅刻してましたよ」
「そ、それは!」
「あはは、ナツミも寝坊なのか!?」
ソルはそのやり取りを笑い、ナツミに腕をガシッとつかまれ力を込められる。
「いだあだだだだだだ!!ギブギブ!!」
ソルは暴れながらそう言う。ナツミはようやく気が済んだのか手を放す。
「ったく、お前の力を少しは考えろ……」
ソルは一人そうぼやいた。が。
「なんですって?聞こえてるよ、ソル?」
ナツミにまた怖い顔をされて黙った。やり取りを見ていたアヤは慌てて仲裁に入る。
「橋本さん、お願いですからこれ以上私のソルさんをいじめないで下さい。あんまりなことしてると私も黙ってないですよ?」
アヤに脅しをかけられてナツミは冷や汗をかきながらソルを釈放する。
「しかし、キール兄たちはいつ来るかな……」
ソルはそうぼやく。一同もさぁ、といった感じだ。

―集合時間20分前。
キールは自宅にいた。が、彼はとっくの昔に身支度を済ませ荷物をまとめている。彼は今いまだ寝ているハヤトを起こすのに悪戦苦闘している。
「起きないと、みんなが待ってるよ」
「んー、んー」
トウヤは彼の腕動かしたり足を引っ張ったりするが全く彼には通用しないようである。
「んー、そこそこ!!あぁぁぁぁ〜、キールも結構大胆だな……ああぁあぁん」
「どんな夢を見ているんだ?」
キールはその寝言の内容に疑問を覚える。しばし考えていたがハッと我に返ってハヤトを揺さぶりにかかる。が。
「わぁぁ、まさか奴がガルマザリアが使えたとは。ガルマを受けると思ってなかったぜ。ぬかったな!!」
「誰も、ガルマなんか召喚してないんだけど……」
キールは一人ぼやく。そしてついには。
「おちろーー」
彼はそう言ってハヤトをベッドから落とす。
「わぁぁぁーーー。おちるぅぅ、ワイバーン、助けてく……」
そこまで行ったところで彼は床に激突し目を覚ます。
「お、おはよう。キール、何怒ってるんだ?」
彼は呑気にキールに訊く。
「もう、ったく。君のせいでまたみんなを待たせちゃうじゃないか!早くしてれるかな?今何時だと思ってる?」
キールは嫌味に時計を見せつけながらそうハヤトに言う。
「わぁぁぁぁ〜〜〜〜!!寝坊だ!!どうしてキール起こしてくれないんだよ!!」
「起こしたよ、今日も映像を録画したけど見るかい?」
キールに目だけ笑っていない顔で聞かれハヤトは首よ飛んで行けといった風に首を横に振る。すぐに布団から抜け出て服をその場で全部脱ぎ散らかす。キールはパンツ一枚になった彼に服を素早く持ってきて渡した。彼は45秒でそれをすべてきてしまった。
「キール、飛んでいくぞ!!」
ハヤトは玄関へと急ぎながらキールを急かす。そこには荷物すべてが置いてあった。
「いや、僕たち飛べないからね……?」
キールの突込みは空へと消えた。

―集合時間20分を過ぎたころ。
ハヤトたちがようやく集合場所へと到着した。彼らは改札へと特攻をして改札を突破する。
「おそいよ、もう!!何分が集合時間だと思ってるの?」
「すまん!」
「言っておくけどボクは朝の7時30分には起きたからね」
キールは横で澄ました顔でそういう。
「やっぱり、新堂くんでしたか」
「キール兄が寝坊するわけないし」
「俺よりはゆっくり起きてくるとはいえキール兄も早起きだしな」
「でも、なんでソルはそんなに早起きなの?」
ふと思った疑問をカシスはソルにぶつける。答えたのは意外にもクラレットだった。
「ソルちゃんは、私たちと少し年が離れていることもあって朝から勉強したり、体を鍛えたり魔力を高めたりと一生懸命に努力をしていたのですよ」
「そうだったのね……」
カシスも納得したようだ。
「んもう!新堂ったらどれだけ寝坊助なわけ?あたしでさえ時間通りに着いたというのに」
「私が起こさなかったら寝坊して遅刻だったと思うのですが」
クラレットに突っ込まれナツミはそれは内緒よ!といった。笑いが起こる。
「とりあえず、早くいこうぜ。ここでしゃべってるこそ時間の無駄だぜ」
ソルに促され彼らは荷物に埋もれながら移動し始める。
 10分後彼らは目的地の公園へと着いた。
「みなさん、荷物はきちんと握ってますか?置き去りになってしまいそうな荷物はありませんか?」
「ないわよ、クラレット」
「んじゃ、精神を集中するかな」
トウヤの一言で誓約者が精神を集中させる。
「アヤ、いつものあれをお願いね」
「わかりました」
誓約者全員の魔力の高まりを感じる。
――!!――
彼らは光へと飲まれていった。
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