*もしも皆が同じ学校だったら*

□秘密の約束
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『あれ?高尾と緑間って家こっちじゃなかったよね?』


下校途中に文房具を買いに寄り道していたパウリは一方は必死に自転車をこぎ、もう一方はリアカーに優雅に座るという異様な光景に出会った。
…もう見慣れた光景でもあったが。


高「おっ、パウリちゃん!
まぁ…察してよ?」

『あぁ…ラッキーアイテムね…』

緑「明日のラッキーアイテムはコンパスなのだよ。
家になくてな、調達しにきた」


緑間はリアカーから降りると目的のものを買うためにさっさと店の中に入っていった。
パウリは 外で留守番する高尾と立ち話でも、とその場にとどまった。


『高尾も面倒見いいよねー
あの緑間の趣味につきあってあげるなんてホントいい人だわ』

高「だろー?
まっ、真ちゃん面白いからさ、からかったりすんの」


ニカッと笑う高尾を見て、このコンビは不釣り合いに見えてうまく噛み合っているんだな、と思った。


『うちのクラスに高尾もいたらよかったのにね。
クラス離れちゃって緑間かわいそう(笑)』

高「おいおい、オレパウリちゃんとも離れたくなかったぜー?
真ちゃんばっかずるい」


まっすぐ目を見て話す高尾にずるいのはお前だと言いたくなった。


『あはは、私も』

高「違うクラスってだけでだいぶ接点限られてくるもんな?
もっとパウリちゃんと話してぇ」

『そうだね〜』


どこまで本気なのだろうか。
当たり障りのない返事を返すのもそろそろ辛くなってきた。


高「なぁ、今度の休みどう?
映画とか行かね?」

『えっ』


そんな様子を察したのか高尾が不意打ちで提案してきた。
まさかのお誘いにうまく返せないでいると丁度緑間が戻ってきた。


緑「用は済んだ。帰るのだよ」

高「全くせっかちだなー真ちゃんは」


そう言いながらも自転車のペダルに足をかける。
せっかくの他クラスの高尾との接点。乗らない手はない。


『高尾!行く!行きたい!』

高「おし、そうこなくっちゃ!
後でメールするから!じゃーな!」


何の話だと眉間にしわをよせながら聞く緑間に高尾は真ちゃんにはナイショ、と答えた。
あれ、そういう感じなんだ…


高尾と二人きりの映画。


気づいた時には顔が熱くて、さらに高尾が振り向いてウインクしてきたから本当にずるいと思った。
 

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