*もしも皆が同じ学校だったら*
□イケメンの過去
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人の出入りの少ない喫茶店に入ってアイスティーを注文して席につく。
黄「ごめん。オレが一方的に話す事になるかも…」
こんなにしおらしい黄瀬は初めて見た。
突き放すつもりもないのでいいよ、と言って続きを促した。
黄「まず中学の頃からオレはモテモテだったっス」
…いきなりかよと思ったが事実として捉えておこう。
黄「中学時代から告白されてはフッての繰り返しだったっス。
ちょっと付き合ってみても皆モデルの彼女っていうレッテルが欲しいだけってすぐに分かったから。
…その中でも勝手につきまとって彼女になったつもりのヤツがいたんス」
黄瀬はアイスティーを一口飲んで続けた。
黄「で、あまりにもしつこいんで冷たくあしらったんス。
そしたらソイツ、オレのありもしないウワサ流し始めて知らない間にオレは周りにディスられていった。
もちろんちゃんとオレの事理解してくれる友達はいたんスけど、それから軽く女性恐怖症になっちゃって…」
『ふーん…』
だからあえてステータスを押し出してたんだ。
黄瀬にもそんな一面があったとは思わなかった。
『まとめるとイケメンは苦労するって話だね』
黄「えっ」
『あ、悪い方に考えないで…
私は、理解してくれる友達が1人でもいればいいと思うよ?
その人たちを大切にすればいいんじゃないの?』
黄瀬はポカンとしていた。
何!?上から発言すぎて何言ってんだコイツってなった…かな?
内心慌てているとふいにガシッと私の手をつかんだ。
黄「パウリっち!
オレ、パウリっち大切にする!!」
『はい!?///』
おうおう、これは告白ですか…?
違う、流れ的に友達の話だったからとりあえず落ち着け自分…!
いやでも女友達に言う言葉でもない、男友達にも言わないけど…
混乱していると、女の子の集団が喫茶店に入ってくるのが見えた。
幸いこの席は死角だからバレてはいないようだ。
黄「一緒にいるとこ見られたら色々メンドウっス。
ごめんここで解散っス。。
パウリっち、先帰って」
『そうだね、バイバイ』
振り返って手をふると「ありがとう」、と口が動いているのが分かった。
…かっこいいじゃん。
気になり始めた自分に嫌気が差しつつ、黄瀬の中身を知れた気がして嬉しくも思った。