*もしも皆が同じ学校だったら*
□Happy Sunday
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それから30分。
席はまだ開かない。
パウリは英文解釈に苦戦していた。
分からないものに長時間取り組んでいるとだんだん眠くなってくる訳で…
氷「…ちゃん?パウリちゃん?」
『っ、すみません、ありがとうございます…!』
辰也さんの前で恥かくつもりはなかったのに。
慌ててノートに目を落としたがすぐに睡魔がやってきた。
氷「もしかしてどこかつまずいてる?」
『え?ま、まぁ…』
氷「オレでよければ教えようか?」
思わず心の中でガッツポーズをしてしまった。
謙遜しているけどそういえば辰也さんは帰国子女だ。
この程度の英語なんて取るに足らないんだろうなぁ。
辰也さんに英語を教えてもらえるなんて…俄然やる気スイッチが入る。
『お願いしてもいいですか?』
氷「分かった。じゃあまず文構造から見ようか…」
・
・
・
『すっきりしました!ありがとうございます!!』
氷「ふふ、どういたしまして」
分かりやすい説明だったなぁ…
かっこいいし発音いいしかっこいいし。
これから辰也さんに英語教えてもらいたい。
…なんて図々しいこと頼める訳がない。
氷「もう外が暗いね。パウリちゃん時間平気?」
『そろそろ帰らないとまずいですね…』
氷「送っていくよ」
さすが辰也さん。紳士。
きっとこう言っても送ってくれるんだろうなぁって思ったら確信犯なんだろうけど。
『ありがとうございます。でも辰也さんと家逆方向ですし、私平気ですから!』
氷「ごめん、オレが送りたいだけ…っていうのはダメかな?」
『っ、』
予想外の切り返しに言葉をつまらせてしまった。
そんな顔でそんなこと言うなんて、反則だ。
『あ、りがとうございます…//』
あーもうどうしてこんなに意識しているんだ。
海外ではレディーファーストって言葉があるじゃないか。
辰也さんだからいけないんだと思いつつもどこか悔しく感じてしまう。
テーブルの上の教科書をバッグに詰めて店を出た。