読み切り〜壱〜
□祝日
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「わりぃな斎藤、名無しさん」
祝日で今日は休み。しかし俺と名無しさんは土方先生に、呼び出された。
『…帰る』
「終わったら何か奢ってやるよ」と原田先生が名無しさんの頭を撫でた。俺は原田先生を睨んだ。
『…やるぞ!!一!!』
「………あぁ」
原田先生の行動に苛立ちを覚えたが、普段学年が違い昼休みや放課後に少ししか話せない名無しさんと2人で…資料の作成や雑務する。
名無しさんと2人で!!
たっぷり話ながらやろう!!と心に決め職員室を出る。
いや…話ながらで良いのか?
そんな事を考えていたら、空き教室についた。
『………』
「………」
黙々と作業をする2人。
たっぷりどころか、息をしているのかと思うほど静か…。
一は考えに考えに考えて名無しさんに話しかけた。
「…名無しさん喉渇かないか?」
『別に』
「そ…そうか」
口下手な一に、無口な名無しさん。
会話?は直ぐに終わった。
名無しさんは黙々とまた作業をする。
一は仕方なく作業を再開した。
2時間後…
『一…休憩しよ』
「あ…あぁ飲み物を買ってくる」
『うん』
俺は走って自販機に向かい、名無しさんの好きだと思われるミルクティを買い教室に戻る。
『一早いなぁ』と笑いながらミルクティを受けとる名無しさん。
『ミルクティ好きなの知ってたの??』
「いや何となくだ」
『ふーん』
「いつも昼休みに飲んでいるから好きなのかと思ってな」
『うん好き』
今…俺は固まってしまった。俺を見て好きと言った名無しさん。
ミルクティが好きなのはわかっているが…わかっているがっ…
その後落ち着きを戻した俺は、名無しさんと家の事や子供の時の事、趣味など少しずつだがお互いの事を知っていった。
「名無しさんは剣道は興味あるか?」
『…あー微妙』
『あっでも木刀は振り回せる』
「何故木刀なのだ…竹刀ではないのか?」
『木刀のが…倒せる』
「(なにをだ?)」
「………………」
『中学ん時の話だし…今は振り回さないよ』
「そうか…」
名無しさんとたっぷり話せたが、要らぬ過去まで聞いてしまった。
『原田先生に、何食わしてもらおぉかなぁ』