読み切り〜壱〜
□トリップしたあたしの1日
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ザックッザッザッザッ
パラパラパラ
ザーッポンポン
「おい」
『…』
「おいっ!!」
「ふっ副長!?」
「おい斎藤…名無しさんは何してやがる」
「えっと…その…」
今俺達の目の前でしゃがんで作業をしているのは、未来から来てここ新撰組屯所預かりになった、名無しさん名無しさん。
俺はこいつを好いている。
そのせいか、甘やかし…終いには副長の気を反らせ叱られないようにしたりする…。
「聞ぃてんのか!!名無しさん!!」
ザックッザッザッザッ
『………』
「てめぇは何で俺の部屋の前の庭で穴掘ってんだよ!!」
そう…名無しさんは額から汗を流しながら一心不乱に穴を掘っている。
「朝から何騒いでんだぁ土方さんよぉ」
「おう。佐之か…みろよあれ」
土方に言われ庭を見る原田。
「……穴掘ってる」
「そりゃ見りゃわかんだよ!!」
ポンポン
『……………うるさいなぁ気が散るよぉ』
「なっ!!にっ!!」
「ふっ副長落ち着いてください!!お…俺が悪いんです!!」
「ほぉ斎藤が…てめぇら部屋に来い!!佐之もだ!!」
「えっ俺もかよ」
「…で何でてめぇは穴掘ってたんだ」
『言わなきゃ駄目?』
「駄目だ」
土方の前に正座する斎藤と名無しさん。さすがに原田は関係無いので、入口付近に胡座をかく。
「副長…全て俺が悪いんです…申し訳ございません…」
『斎藤さんは悪くないよぉ』と斎藤の袖を引っ張る。
「(名無しさん…)」
「おい斎藤固まっちまったぞ(笑)」
「名無しさん訳を言え」
『ん〜と斎藤さんが毎日豆腐食べたいって言ったから、大豆植えて豆腐作るのだ!!』
「「……はぁ?」」
『大豆が屯所にあれば、いつでも好きなときに作れるし…食べれるじゃん♪』
「いや…まぁ…って何で俺の部屋の前なんだよ!?」
『日当たりいいし…あそこなら毎日お茶出すたびに通るから、成長とか見れるし…条け「もう戻れ…(はぁぁ)」
『??????わかったぁ斎藤さん行こ?』
「はっ…副長失礼します」
スタスタスタスタスタ
タッタッタッタッ
「佐之…俺なんか疲れた」
「はは(苦笑い)」
「「はぁぁぁ」」
その頃縁側では…
ゴロゴロ
『やったね斎藤さん!!』
ナデナデ
「あぁ…副長がお許しになってくれたし…成長が楽しみだ」
斎藤の膝でゴロゴロする名無しさんを、優しい眼差しで髪を撫でる斎藤。
「…俺の為にありがとう名無しさん」
チュッ
『えへ…えへへぇ』
『斎藤さん真っ赤ぁ(笑)』
「うっ…うるさい」
そんな1日。