紅桜

□七
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『………あっ斎藤さん』

「名無しさん…交代だ」


今、わたしを含め新撰組は幕府からの命令で、城の守備を任された。


『なんか問題あった?』

「いや、今は何も起きてはいない」

『千鶴は?』

「伝令として走り回っている。そんなに距離は無い…それに他の者も居る。安心しろ」

『そっか…』


あの日から、あたしは千鶴を少し避けてしまっている。
主を守らなければならないのに…。
この頃はお兄ちゃんや、皆に任せてしまっている。


『あたしは何処行けばいい?』

「正面を頼む。あそこなら千鶴の姿も確認出来る」


微笑みながらあたしの頭を撫でる斎藤さん。


『うん…わかった』

「無理はするなよ」

『斎藤さんは心配性ですな(笑)』

「なっ…心配性ではない。単独行動は隊を乱す」

『はいはいわかりました(笑)』


あたしは斎藤さんに手を振り、城の正面へ走った。


























正面には総司が居て、斎藤さんが居ないのを良い事に欠伸をしたり、腰や肩を叩いたりしていた。
あたしは気配を消し、総司の後ろに立った。
そして…


『…………こらっ』


大声で叱ってみた。


「うわっ!?」

『しっかり見張れよ総司』

「名無しさんちゃんか…僕を驚かすなん良い度胸してるね(ニコッ)」


総司は真っ黒な笑顔であたしの頬をつねってきた。


















本気でつねってきた。







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