本を守れっ!!

□第三図書
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新人(主に郁ちゃん)が書庫の仕事を一通り覚えるまでは

堂上さんの隊はつまり堂上班は書庫業務を受け持つことになる。

まだ戦力としておばつかない郁ちゃんには他館リクエストを任せて、

当館リクエストには私たちが対応することが基本体制となった。

メディア良化法が施行される前は書庫出納がこれほど殺到することはなかったというが、

昨今はメディア良化委員会の検閲対策で書庫に収蔵してある本も多いため、

書庫を観覧室並びに簡便に利用できることが図書館に課せられたサービス項目となっている。

教育期間中から座学全般に壊滅的な成績を示し初日の手際も

壊滅的だった郁ちゃんだが、数日経つと他館リクエストを閉館時間までに

かなり出庫ができるようになり、

少しずつではあるが合間に返納図書の配架などその他業務もこなせるようになっていた。




・・・は、いいもの。




「あいつは顔どうしたんだ。皮膚病か??」

遠くでばたばた走り回っている郁ちゃんを眺めながら堂上さんは尋ねてきた。

書庫業務を始めてからというもの、

郁ちゃんの額や顎には大きなニキビが出たり消えたり。

見るからに痛そうなのでやけに目につく。

すると隣からも笑い声が聞こえる。小牧さんだ。

「特訓の弊害らしいよ」

「なんだそりゃ」

『小牧さん知ってたんですか。
郁ちゃん、麻子に分類法とか書庫業務のコツとか教えてもらってるらしいんですけど、
おさらいテストで間違えると罰ゲームで1問につき
チョコレート一個食べされられるんですよ。
寝る前に食べさせられるからニキビができるみたいなんです。私もまきぞいですっ』

不意に打たれてこらえきれず、堂上さんも吹き出す。

「ていうかどれほど間違えてるんだ、あいつは」

『現状、アベレージ10個前後です。いつニキビが引くのやら・・・』

「ホントだよね。名前ちゃんはどうなの」

『私ですか??私は一応0です。
チョコ食べてもニキビできないんですけど、寝不足で肌荒れてきて・・・笑
今は、郁ちゃんが早く成長することを祈ってます。笑』

「苗字も大変だな。
業務に支障が出るかもしれん。今日は早く寝ろ。」

そういい残すと、堂上さんは郁ちゃんのところに行ってしまった。




・・・今日は早く寝よっ//・・・




その後は郁ちゃんも当館リクエストに入っていた。


手塚君に比べてはまだ手際が悪いけど一応は使える基準に達していた。

まぁ、手塚を基準にするのがおかしいかな。

堂上さんは手塚に郁ちゃんを認めるようにいっ
ていたが納得が言ってないみたいだった。

私が言ったこともまだ気づいてないみたいだし・・・。








その日、手塚君は堂上さんに自分から一度も話しかけてこようとはしなかった。










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