短編用

□臆病者
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「だけど…」


「だけど?」


臨也が首をかしげる


「楽しそうだった」


だから私は避けたんだ
その光景が私には苦しかった、辛かった


「そりゃ楽しかったさ」


臨也は席を立って私に背を向け、両手を広げた


「だって、恋人というものがどういうものか体験できたしね!いや、実に面白かったよ!俺の言葉にコロコロ表情を変えたり、他の女子といると機嫌が悪くなって…あ、でも彼女って素直だよね?俺がなんでもないよって言ったらそれを信じてすぐ笑顔になる…本当は二股かけてたなんて知りもしないでね!でも、それも飽きたよ…時間がたてばどれもワンパターンだ」


実に、実に楽しそうに話すコイツに吐き気がした


「最低…」


「それは君じゃないの?」


くるりとこちらに向き直る臨也


「ど、どうして」


嫌な汗が頬を伝う


「言っておくけど、別れを告げたのは彼女の方だ」


「え?何で」


だってあの子はコイツが好きで…


「大切な子の悲しい顔は見たくないんだって」


お願い、言わないで


「彼女は悪くないのにねぇ」


言わないで


「なんでそんな子の為に我慢するんだか…やっぱり人間って面白いねぇ」


言わない、で


「ねぇ、ナマエ…俺が彼女と別れたって言ったとき…」


“嬉しそうだったよ”


「俺はもう恋人なんていらないな…もっと自分の欲を…人間を見せてくれるなら別だけど……














偽善者なんて散々だ」


そう言って彼は教室から出て行った
また私は一人…彼が来る前に時が戻ったようだ

でも違う


「…ひっく」


だってこんなに


「…私は、最低だ……」


苦しい


「好き、好きだよ…す、き……」


彼が来る前よりも…何倍も


「い、ざや………すき…」


恋に臆病な私は、ただ彼から逃げるだけ
その結果…あの子を傷つけ、私も傷ついた…
最初から、素直になれば
彼に“好き”と伝えていれば……
少なくともあの子は…彼女は…傷つかなかっただろうか…


「っ!」


あぁ、だから私は最低なのか

全部、自分が臆病なだけなのに
あの子を私の進めない理由にして
一度もちゃんと彼と向き合わなかった


臆病者


そんな臆病な私は
それでも彼を追いかけられなかった


〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

話がまとまってなくてすいません!
なんか最初かこうと思ってたのとずれました←

でも、素直になれず気持ちをつぶしてしまう子はいると思います
相手が友人ならなおさら……

なんで臨也なんだろう…←


執筆日…2014.06.01
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