短編用
□もっと聴かせて
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―ピンポーン
「臨也さぁーん!ナマエでーす!開けて下さい!!」
「……また来たよ」
只今俺の家をストーカーが来訪中
………え?自意識過剰だって?
悪いけど事実なんだよね〜
なんだか知らないけど変な女の子に懐かれちゃって………て、何1人で語ってるんだ…………俺……
―ピンポーン
「臨也さん!いますか?…まさか…私がいるから居留守ですか?」
「まさにその通りだよ。そこまでわかってんなら帰れ。いつまでもそこに居られると迷惑だってわかんないわけ?」
「あ!臨也さん!!やっと私の愛の囁きに応えてくれたn…「いっとくけど君さぁ…三時間くらいいるよ?なに?暇なの?ぼっちなの?」……ぼっちじゃありません!!臨也さんがいますから!!」
………ダメだ
コイツ完璧に脳内やられてるよね
「と・り・あ・え・ず!!このドアを開けて下さい!!私が入れません!!焦らしプレイですか!?声だけ聴かせての!?なんならこの際声だけでかまいません!!たくさん私に愛を囁いて下さい!!!」
「………」
『断る』と言いたいところだが…声を聴かせてと言われて素直に声を出す気にもなれない…
「…なにこれ……『黙れ』?」
だから代わりに紙に『黙れ』と書いてドアの隙間から外に出してやった
「……声、聴かせてくれないんですね………」
とたん、寂しそうに呟く彼女
「……明日、また来てもいいですか?」
ん?
強引な彼女にしては意外な質問を少し妙だと思った……………が、できれば二度とこないで欲しい
―スッ
「……!!?」
―来る、来ないは君の勝手さ…でも君が来たところで俺は顔を見せないし、声だって聴かせる気はないよ?
「……嫌です!!」
なにが?話をしないこと?いや…それより顔を見せないってことの方かな?
「…私に顔をみせたくないなら顔……見せなくていいです」
……はぁ?
正直意味がわからない
普通好きな奴の顔ってみたいもんだろ?なのに顔はいいって…
「でも………声だけは聴かせて下さい!どんな言葉でもいい!!たった一言でも……お願いですから」
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