短編用
□私を呼んで
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彼女が死んで数ヶ月がたった
オレは心にぽっかりと穴があいた気分だった
彼女を愛してた
失いたくなかった
「はじめまして…今日から特別上忍になりました」
新人がきてもオレにはどうでもよかった
俺にとっては彼女がすべてだったから
「名前はナマエ…ミョウジナマエです」
だがその新人の名前を聞いてオレは驚いた
自分の聴き間違いだとも思った
ナマエ…
死んだ彼女と同じ名前だったから
――――――――
―――――
「…あの、はたけ上忍」
「カカシでいいヨ」
「じゃ、じゃあカカシさん!宜しくお願いします!!」
「元気なんだね」
「はい!元気だけが取り柄ですから…ここ数年、風邪だってひいてません!」
ナマエは彼女と違って健康だった
彼女は身体が弱かった
そのため、任務地で発作を起こして死んでしまった
「宜しくネ、ナマエ」
「は、はい//」
はにかむ顔が彼女とよく似ていた
名前といい容姿といい…
全て彼女の生き写しのように感じた
オレはまた彼女と一緒に過ごせている気分になった
でもナマエと彼女は違う
わかっていてもナマエは彼女にしか見えなかった
――――――――
―――――
ナマエが特別上忍になって数ヶ月がたった
ナマエはとても器用で、様々な任務をこなし彼女は人気者になっていった
「ナマエちゃん…ちょっといいかな?」
「はい!なんですか?」
でも、彼女が人気になったのは実力だけではない
彼女の容姿がとても良かったからだ
「……オレ、君が好きなんだ」
だから、ナマエ目当てで待機所にくる輩も少なくはなかった…今だってナマエは呼び出されて2人きりの場所で告白されていた
「…………」
まるでナマエではなくて彼女が口説かれているような気がして
オレは告白の現場を見るたびに苛立っていた
「……ごめんなさい」
私、好きな人がいるんです
それが、告白されたナマエのいつもの言葉だ
好きな人がいる
心にモヤがかかった気分だ
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