小説‐うた‐

□約束の傷
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私達は、北校舎と南校舎にわかれて学校へ入る。

私達の学校は特別で…AクラスからCクラスは北校舎でDクラスからEクラスは南校舎にわかれている。

そのため、Aクラスの私はEクラスの邁と離れることになってしまう。

中学校の時は、同じ校舎だったのに…

始めは不安だったけど…今となってはなれてしまった。

邁に言ったら、どうなるのだろう。

私は、北校舎へと繋がる渡り廊下を急いで歩いた。

「…?」

その時だった。
渡り廊下を、渡り終えようとしたとき…一人の少年の姿が視界に入った。

少年は、中庭の大きな木の下で座っていて空を見上げていた。
少年は、制服ではなく…サッカー部のユニフォームのようだった。

私は、時間を気にしつつもその少年が気になって…足を止めた。

「あの…授業遅れちゃいますよ?」

話し掛けるつもりはなかった。でもっ衝動的に口が動いていた。

「うん…」

少年は、空を見上げたまま振り向かずに…返事だけをした。

私は…素早く通りすぎようとした。

「朝練の試合…ミスっちゃった…」

「えっ?」

「親友…怪我させちゃってさ…今っ病院。」

「そうなんですか…」

「サッカー出来なくなったらどうしよう…あいつの方がサッカー好きなのに…」

私は、慎重に言葉を並べていく…

「そんなに心配してくれるお友達が居るんですから…きっと、その人も分かってくれますよ。」

少年は、振り向いて驚いたように私を見つめた。

「きっ君…名前は…?」

「えっ」

少年は見覚えのある顔をしていた。

「鈴己です…」

「そっか。おぼえておくっ俺は、麻城空斗-マシロソラト-。」

「あの…同じクラスのっ」

「そうだっけ?」

「そうですよ…」

「あのっ敬語やめない?」

「同じ年ですもんねっ」

「ほらっまた」

「ごめんなさいっ」

「鈴己さんって面白いっ」
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