小説‐うた‐

□監禁少女
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ボクは、殊葉ナツメ-コトハナツメ-。
柊中学に通って三年の月日が流れた。
それは…ボクにとって長かった。
何故かと言うと、ボクは密かに中学二年の時に転入してきた女子に恋をしていたからだ。
いや…単刀直入に言えば、その女子が欲しかった。そして…自分のものにしたかった。
誰にも触れさせたくない…ボクだけのものにしたかったのだ。
そしてやっと…7月15日、6時12分。この日、この時間が来たのだ。
母が亡くなり、父と二人暮らしだったボクに…幸運が舞い降りた。
―父がしばらく家を後にするのだ。
帰ってくるのは五ヶ月後。ボクの自由な時間だ。
この時間を有意義に使わなければ…もう二度とないのだから。
そして…今。父がボクの寝ている間に家を後にした。そしてしばらくして…静かなこの家に大きな足音が響く。
そして、その足音はボクの部屋の前で止まる。

ガチャン―

「なつーっ」

そして、その足音の主は元気な声をあげて入ってきた。

「なんだよ…李晴…」

この少女は、迎田李晴‐ムカエダイハレ‐。
少し変わった名前だ。物好きな父親がつけたらしい。
李晴は、低血圧なボクをたまに起こしに来る。そのたびに勝手に家の中に入ってくるから何の違和感も持ったことはない。
李晴は、ボクの幼馴染み的な存在だ。

「今日は何?もう起きてるし…ボク言ったはずだけど…今日は休むってさぁっ」

「知ってるわよ。あたしは、なつが寂しいんじゃないかと思ってこんな朝早くに来たんじゃないっまさかっ起きてるとは思ってなかったけどね。」

「別に…寂しい感情なんてとっくに持ち合わせてないんだけどね。」

「もーっ可愛くないんだからぁっこんなんじゃっいっしょーっ彼女出来ないんだからぁっ」

「…」

李晴は、舌を出してべーっとした。子供だな…

「彼女なんていらないよ。どちらかが一途に想っていれば、お互いに好きにならなくったって良いからね。」

「えっ?」

「早くっ支度した方が良いんじゃない?鈴野さんが待っているからね。」

「うんっ分かったぁっ」

幼馴染みさえも騙す、ボクはどれくらい汚いのだろうか…。
鈴野音香‐スズノオトカ‐。李晴の親友。そしてボクの好きな人だ。

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