小説‐うた‐
□約束の傷
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鈴己香夜-スズミカヨ-。
私は生まれたときに両親にそう名付けられた。
そして…私には同じ年の兄妹が居る…
私達は双子…。
私達は生まれたときから
ずっと一緒に居た。
鈴己邁-スズミユク-。
私の双子の兄の名前。
私達の両親は、交通事故で亡くなった。
それからは、施設で育った…
小中学校は私立に通わせてもらった。
高校生になってからは、社会のコミュニケーションを学ぶためにマンションを用意された。私達は、そこで二人で暮らしている。
月日を経て…私達は15歳になった。
「邁っ起きて…」
「ん…香夜?」
「遅刻しちゃうよ…」
「じゃあっキスして…そしたら起きるよ…キスだけで良いから…」
私は、ゆっくりと邁の顔に近付いてキスをした。
「きゃっ」
邁は、私の不意をついて私をベットの中に引きずり込んだ。
「キスだけって言ったのに…」
「嘘だよ。キスだけなわけないじゃん。双子なんだから嘘くらい分からないの?」
私は…邁を睨み付けた。
「ごめん、ごめん…怒らないで。笑った顔の香夜が好きだよ…」
「今は嫌い…?」
「今も好きだよ…」
邁は…優しい顔をしてキスをしてくれた。
私は…邁の優しい笑顔が大好き。
やっぱり双子って似るのかもしれない。
「香夜…制服…やっぱり似合ってるね。」
「ありがとう…」
邁は、また優しい笑顔をしてみせた。
すごく安心した…
私達は、一緒に朝食をとって家を後にした。
「クラスが遠いのはやだね…」
「でもっ家に帰れば一緒に居られるじゃない。」
「そういう問題じゃないよ…」
「そうかな…」