ミルモでポン!長編

□恋のキューピッドの我儘
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そこにいたのは、ミルモが大の苦手としているオバケ。

ふわふわと無邪気な表情で空中を漂っていた。


ユミヤはそれを見ていたのだ。


「か…… かわいい〜っ!」


さっきまでやっていたことも忘れ、夢中でオバケを追いかけ始める。
ユミヤの勢いに圧され、オバケも必死で逃げている。


「な、何でございますか?」

「昔、この教室ではペット妖精が飼われていたって噂は本当でしたのね……」

リルムが逃げ回るオバケを眺めて言った。

「そういえば、ここは出るってウワサ流行った時期があったな。
なぁ、ミルモ」

ヤシチが振り返ると、ミルモは三角座りで震えていた。


「捕まえたのねー!」

ユミヤの明るい声が、暗い教室に響く。
その手には無害そうなオバケが捕らえられていた。


「そんなにカワイイでしゅかね……」

ムルモが怪訝な顔をする
怖くはないが、可愛くもない。

「ユミヤはああいう類が好きなのだ
昔からよく追いかけ回してた」

「変わってましゅね……」


「あとで私の特性の矢で成仏させてあげ――」

「ヤシチでポンッ!」

夢中になってるうちに、ヤシチが魔法を使いユミヤをぐるぐる巻きにした

「わっ!」

「ったく、苦労かけさせおって」

やっとつかまえたぞ。
ヤシチがそう言うと、ユミヤも抵抗を諦めた。





「どうしていつもお主はそうなのだ?」

ヤシチの兄貴のお説教タイム。
自由を満喫するオバケが空中をふわふわ飛んでいるが、(ミルモ以外は)気にしていない。

「昔から周りに迷惑ばかりかけおって……」

「……」

「今回のことは拙者への腹いせなのだろう?
ならば、拙者に文句を言えばよいだろう!
他の者を巻き込むな!」

叱ると、俯いていたユミヤが顔を上げる。
大きな目から、大きな涙がポロポロと零れ落ちている。


「さびしかったんだもん……!」

ぐしぐしと乱暴に涙を拭きながら話す

「全然かまってくれないと思ったら人間界行っちゃうヤシチくんが悪いのねっ!

そりゃ最初はガマンしてたのねっ
修行って1日や2日で終わるもんじゃないし……

でも時間を置けば置くほど……。」


時間を置けば置くほど、恋しさは募る。

ヤマネは、ヤシチに弟子入りする前の自分を思い出した。


 
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