ミルモでポン!長編

□お久しぶりです、帰ろうか
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「サスケ、ハンゾー。テーブルの上拭いてくれ
ヤマネは床
拙者は窓掃除するのだ」

「合点承知だぜ〜」
「な〜のら〜」
「でございます!」

やる気のないサスケとハンゾーとは対照的に、ヤマネは元気よく返事をした



安純の部屋で恒例となったお掃除。
これのおかげで体力がついたりしてる

しかし、窓は天敵。

小さな自分と、大きな窓。
窓拭き用の台があるにはあるので、届かないということはないのだが
床と違って中々作業が進まない

ならば、もういっそのこと水を多目に含んだ雑巾を高く飛ばして窓に当て、
重力まかせに落ちてくるのを待とう……

――待てよ?それだとムラが


「ヤシチくんって何のために人間界来たのね?」


策略を立てていて気づかなかった。
いつの間にか、隣にユミヤがいる。

「何のためって、修行に決まっとろうが」

「掃除の?」

「人は拙者を、ハウスキーパーヤシチと呼ぶ――…って ちがーう!」

「ああ、ノリツッコミの修行?」

「もうユミヤ帰れ。疲れるのだ」

「……ヤシチくんこそ帰っておいでよ」

いつもと違うユミヤの声。
ヤシチはユミヤを見た。

「まだ修行中だ」

「一生終わらないんじゃないのね?」

…その通りだ。

パートナーである安純の願いは「南楓を結木くんから排除」

それが出来ないということは薄々気づいていた。

サスケとハンゾー、ヤマネも窓を見る


「でも、帰るわけにはいかん」
ヤシチは窓に向きなおす
窓にはムッとした自分の顔が映った


「寂しいって言ってるのが分かんないのね!?
ヤシチくん帰って来てなのねー!」

「お主こそ帰らんと言ってるのが分からんのか!?
出来ないからといって、じゃあ帰りますってわけにもいかん!」



俯いて拳をふるふると震わせるユミヤ。
もしや泣いてるのでは、と心配してみたら
バッと顔を上げて、団扇を取り出した。

「頑固者ー!」

唾を吐き捨ててから。


「ユ……ユゥゥゥゥゥミヤァァァァァアアアアアアアア!!」


その怒声は、飛び立ったユミヤの耳にも当然届いた。




「私を怒らせたらどうなるか……
忘れたとは言わせないのね、ヤシチ……!」

ピンクの髪を揺らした、可愛い少女の目は、
山火事並みに燃え上がっていた。












→麦茶だと思って飲んだら、そば露でした



 
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