KND短編

□ぜんぶ思い出
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太陽は優しくツリーハウスを照らす。
この日は空が青かった。
昨日の大雨が嘘のようだ

この日も、いつも通り平和に1日をおくる

はずだった。



ナンバー3はツリーハウスの内部をひたすら走っていた。
靴が木で出来た床を蹴っていく。

「……ハアッハアッ」

長い間走っていて、息も荒くなる。

「ナンバー3。
もう逃げられないぞ」

突然、視界にナンバー1が飛び込んできた。
驚いたナンバー3は足に急ブレーキをかけて転んでしまった。

「いやーーっ!!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

突然ナンバー3が泣きに近い叫びをあげる

ナンバー1の瞳は、サングラスで隠れていてなにをしでかすか分からなかった。

否、ナンバー3は解っていた。
これから、なにをされるのか。

「……ごめんなさい……ごめんなさいごめんなさい……許して……」

カタカタと身体の震えを止めることもできない。
ナンバー3は絶望の真っ只中にいた。

「ナンバー1……お願いだから……!捨てないでぇ……!」

「……」

「みんな……みんなかけがえのない友達なのよ……!?
今までずっと一緒にやってきた
仲間なのよ!?
それを……あんなカンタンに……!」

ナンバー3はボロボロと涙を流した
感情を素直に、正直に、出していけば
彼なら分かってくれる。そう思っていた。


しかし、ナンバー1はピクリともせず

「あんなやつら仲間でもなんでもない」
キッパリと短く言った。

「どうして……!」

「さあ、俺の言う通りにしろ」

「いやぁああ!
ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


  「ナンバー3!!」

ナンバー1の怒声に、ナンバー3が飛び上がった。


「俺は謝ってほしいんじゃない!
お前の部屋の、溜まりに溜まったぬいぐるみを捨ててほしいんだ!!」


さきほどまでの空気と、うって変わってナンバー1はいつも通り声を上げる

「だから捨てられるわけないでしょ!?」

ナンバー3も理解力ない人だと思いながら、負けじと声を上げた。

そんなナンバー3の手を掴んで、ずんずんと彼女の部屋へ歩みを進めた。

「くっそ!なんて長くてつまらない前置きなんだ!」

「やーっ!はなしてよーっ!」
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