ミルモでポン!短編

□それでもオイラは歌わない
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『ずっと前から』『今まで黙ってたけど』『出逢えてよかった』『好き。大好き。』

ありきたりな恋のうた

なのに君が歌うだけで、こんなにも色づき、映え、切ない。




澄んだ歌声は、まるで今の空みたいだった。

心地よい風が吹き、草木が揺れる
まるで自然たちも彼女と歌いたがってるようだ。

サスケはそんなことを思いながら、閉じていた目を開けた。

視界に映ったのは、歌い上げてはにかむ女の子。


「ヤマネは歌が上手だぜ」

「えっ いえ…そんな…っ」

サスケが素直にそう言うと、ヤマネは頬を赤くした。

照れるヤマネは可愛い。
見ていてサスケ自身も照れてしまうほど。
でも、もっと別の、赤は赤でも違う赤に染まった頬がサスケに向けられることはない。


「流行りの歌などは存じませんが、私この歌は大好きなのでございますっ」

「(オイラはヤマネの歌ならなんでも大好きだぜ…)」

好き。大好き。

「……」

くるくる回るメロディー
蘇る歌詞
まるで、歌が自分に語りかけているようだった。

好き。大好き。

「ヤマネ」

名を呼んだら

「はい?」

ヤマネは笑って返事をしてくれた


友達、もしくは先輩と後輩程度の仲。
二人の関係に、決して恋人という名前はつかない。


「………アンコールをお願いするぜ」

「わかりましたでございます!」

『今まで黙ってたけど』


今まで黙ってた、そしてこれからも黙っている。

だからどうか、君はこの歌のように幸せになってほしい。

サスケは心からそう祈った。



見上げた空は、やっぱり澄んでいた











→もう無理にあとがき書くことないだろうに……


 
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