ミルモでポン!短編

□一大決心は一瞬で
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ある日の昼下がり。
ヤシチは1人で床掃除に励んでいた。

「ヤシチくんーテスト赤点取っちったのねー」

この部屋には、もう1人妖精がいた。
ピンクの忍者服を着たユミヤ。

掃除されてピカピカとなった床をごろごろと横になっている。
お日様の光が窓から入ってきてあたたかい。


「……拙者にそれを言ってどうする」

ヤシチは雑巾をしぼる。
黒くなった雑巾を広げて、もうそろそろ替え時かと唸った。

「補習なのね、補習!
赤点取りすぎたぁああ」

過去の自分を悔いるようにその場でバタバタ暴れる

「いつもギリギリだったようだが、今回は免れなかったようだな。補習。」

最後の単語を強調してニヤリと笑う


「いいなぁー、ヤシチくんは。人間界で修行してるから、学校もなけりゃ補習もないのね……」

人間界で修行してる時は学校に行かなくていい。
それは妖精界の掟の1つで、基本にあたるものだ。

妖精が人間界で修行するのは、本当に役に立つ魔法を身につけるためだと授業で習った。

学校での勉強も
人間界での修行も
やってることは変わらないのだ。

人間で例えるなら、日本で英語を勉強するか
アメリカへ渡って英語を勉強するかのようなものだ。


「まぁ、ユミヤには修行の方が合うかもな」

なんとなく。本当になんとなくそう言ってみた

ユミヤからなんの反応も返って来ない。
この幼馴染みがヘンテコなのは長年の付き合いで分かりきってるので、
特に気にせずにテーブルの上の掃除へと移った。

「……か」

ユミヤが呟いた。
ちょっと離れたところにいたヤシチの耳には、一文字しか聞き取れなかった

見ると、ユミヤはすくっと立ち上がって

「そうか!人間界で修行すればいいのね!!」

なんとなく言ったことを真に受けていた。



 
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