ミルモでポン!短編

□【筑元様へ】ニコニコ症候群だし!【ヤシリル】
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青い空!
白い雲!
そして横たわる赤い忍者。

「くそォ〜、ミルモめぇ……」

ヤシチはボロボロの姿で地面に転がっていた。

分かる人には、説明も不要だ。
あえていうとすれば彼は――

今日も王子に倒された。


そしてゆっくりと起き上がると、ほっぺを撫でた。

「イタタタ……
少しは手加減してくれてもいいではないか……
いや、それで勝てても嬉しくないが……」

身体を充分休めたと判断したヤシチは、自宅へ戻ることにした。

とりあえず、適当に絆創膏貼っておくか。
そんな思案を浮かべてると、ガクッと崩れた。

「……やってしまった」

ヤシチは己の小さな足を見る。

捻った。



きっとミルモに倒されたときにやらかしたのだ。

「情けない……」

自分の不甲斐なさと貧弱さにため息が出る。

その時だった。

「ヤシチさん?
どうかしましたか?」

顔をあげると、そこにはリルムがいた。

「お元気がないようですけど……」

「(こんなときに……)
別に拙者は至って健康だ!
だからあっちいけ!」

冷たく言い放つと、リルムははぁ、と自重気味に返事をする

「……あ、ミルモ様と喧嘩ですか?」

リルムがヤシチの身体中の傷を見て言った。

ジトッとした目で、だったらどうした。と見た。

「相変わらず、仲がよろしいのですねぇ」

ブチッ

もちろんこの音は、
回線が切れた音でも、
電話が切れた音でも、
足元の雑草が抜けた音でもない。
ぶちギレた音でもない。


ヤシチは、己の怒りを沈めるために自分の髪を引っこ抜いた音だ。

相手は女子だ。
痛みで自分を冷静にさせる。

「えっと……ヤシチさん?」
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