ミルモでポン!長編

□少年のクレオメ
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“技術を盗める。”


確かに蝶…、アゲハはそう言った。


「馬鹿みたいな話だよね」

黙っていたヤシチたちに向かってアゲハが言う

「技術は教わるものじゃない。盗むものだ……とどこかで聞くような台詞だけれど、あれって真似してるだけだよね
真似じゃあ本当にその人の技術がそっくりそのまま身につくわけない
 でも、私は盗めるんだよ
技も術も…なんだって…」


そう言ってアゲハは手元をキラキラと魔法みたいに光らせる

現れたのは銀色に輝く2つの短刀

「……!?」

「あれは…!」


それはカラスの短刀と酷似していて、カラスも思わず手元にある短刀を見た

「カラスくんの2つの短刀を操る“腕前”、盗ませてもらったよ」

「腕前…?」

「技とか術とか技術とか腕前とかわけわかんないぜ!」

「もっと分かりやすく教えてほしいのら」

いまいちピンと来ないサスケとハンゾーが解説を願った
しかしまたアゲハは

「やだよ」

あっさりとそう言うと、ケータイを取り出して帰ろうとする


「待ちやがれ!」

ここで簡単に取り逃がすわけにはいかない。

ミルモが言ってマラカスを取りだし、いつもの呪文を唱える

現れたヤカンはアゲハへまっすぐ飛んでいく
ヤカンを一瞥したが、ケータイを耳に当て

「マグカップの配達お願いしたいんだけどー」

話しながら、飛んで来たヤカンに強めに回し蹴りした
ヤカンは大きくへこみ、消えてしまった

「な……っ!」

「そうそう、私のマグカップー
もう用事も済んだからー」

「ミルモ様の魔法が…!」

「あんなカンタンに…」

ヤシチは動揺の中、ムルモがアゲハを睨み続けてることに気づいた

「……ムルモ?」


その時、クモモが地面から生えてきた(正しくは現れた)

「それじゃあ私はこの辺で〜」

止めに入る隙もなしにアゲハは帰っていってしまった



「……ちっ」

悔しい気持ちが広がる一帯。
そんな中、ヤシチが口を開いた

「…ああ、なんだ。そういうことだったのか」

静かに言ったヤシチの表情は、楽しそうでも悲しそうでもなく、ただ納得している

「なんだよヤシチ?アゲハのことで何かわかったのか?」

「ならオイラたちにも教えてほしいんだぜ!」

「なのら〜」


「アゲハのことじゃないんだが…」

「違うんですの?」

「じゃあ何なんだよ」

カラスのその言葉で、ヤシチはムルモを見て言う


「ムルモ。お主の事だ」



 
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