ミルモでポン!長編

□プルメリアに気づいた日
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泣いた。泣かなかった。

笑わなかった。笑った。

怒った。怒った。

許さなかった。許せなかった。

恋した。愛した。





努力の妖精。
そんな肩書きを持つカラスの努力はいつも実らないでいた。
忍者としても、妖精としても未熟な少年は、それでもいつか上達すると努力し続けた

単純に、得意不得意の問題だったのかもしれない。
しかしそれだけで納得出来ないのは、少年の意地


そんな時に、見つけたのだ。
自分の得意分野を。







 皮肉だと、カラスは思った。
蝶がヤマネと…、ヤマネ破転弾と全く同じ技を持っていたなんて。
威力も馬鹿に出来ないその技を、カラスは当たらまいと必死に避けていた

そんな中、少し離れたところからサスケが言う

「カラスー!もう少しで兄貴来るから頑張るんだぜー!」

「耐えるのら〜!」


本人たちはカラスのためにしてるのだろうが、カラス自身ありがた迷惑に感じた

それってつまり、自分では彼女を倒せないってこと

カラスだってそれは分かっている。
それでも立ち向かうことから逃げたくなかった


蝶が破転弾をやめ、ひらりと着地

「なんかキミ手加減してないー?」

「……あ?」

「私が女の子だからやりづらいのかな?」

ヤマネを傷つけたのは許せない。
だから手加減なんてしていないはず


違う
蝶のいう通り、女の子を斬りつけるのはさすがに気がひけている

ただでさえ力の差は大きいのに、手加減してたら打ち負かすことなんて出来ない


頭ではわかってるのに


「甘いだけの奴は嫌いだよ」


気づくと、目の前まで迫ってる蝶
スピードに乗ったまま、くるりと回って蹴りを喰らう
カラスの視界が回り、どこが上でどこが下かも把握出来ぬうちにさらに殴られる


倒れそうになるも、踏み留まり短刀を振る

「おっと」

ひらり、ひらりと動く相手にカラスはイライラした。

「……手加減してんのは、オマエの方だろ」

体力もある方ではないので、言いながらカラスの肩は大きく動く

対して蝶は、戦う前と同じ様で息もきれてないし、傷もない


今の自分は蝶に生かされてる。


それがイライラの理由の1つだ
攻撃は当たらないうえに、相手の破転弾も詰めが甘い

「キミが本気を出せば、私もそれ相応の力を示してあげるよ」




 
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