ミルモでポン!長編

□モミに隠れたモミ
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「課外授業ばんざいだぜー!」
「ばんざいなのら〜!」


ヤシチたちが話していたその頃、サスケたちのクラスは屋上の妖精学校から元気に飛び出した。

担任のザマスが、いつものように怒鳴る

「バラバラに行動しちゃいけません!
人間界は危険があちこちにあるザマスよ!
 では何故、人間界見学をするか。
それは人間界に修行に出る際、信号や車のルールを知っておけば……」

いつものようにペラペラと喋るザマスに、全員がため息をついた。
それはカラスも同じで、いい加減このパターンにも飽き飽きしていたその時、
ヒュンッと風を切る音がして、足元を見ると地面に矢文が刺さっていた

「……っ?」


周りを見渡すが、射ったであろう者は見つからない

文を開いてみると、そこには“元気〜?昨日会ったんだけど覚えてる〜?中庭で待ってるね〜”とだけあった


「なんだぜ、それ?」

サスケとハンゾーが両脇から覗きこんでいたことに気づき、カラスは心臓が跳ねあがった
それを誤魔化すように、カラスは鋭い目を更に鋭くする

「なな、なんだよおまえら!?」


「兄貴がミルモにこんなメッセージを送ってるの見たことあるのら〜
カラス、決闘を申し込まれたのら〜?」

しょっちゅう顔を会わせてるからか、それとも彼らがマイペースだからか。
二人は1ミリも怯まずに、真っ直ぐな目を向ける

こんな文面をしていても、楽しいものじゃないのはすぐ解る

「……そうみたいだな」

昨日の少女が何者で、何が目的なのかもわからないが
友好的なものは感じなかった


“覚えてる〜?”

忘れるわけがない
あんな冷たい目。


カラスは昨日の忍者を思い浮かべる


「暇だからオイラたちもついていこうぜ〜!」

「サスケ、声大きいのら〜」

そんな緊張感も察しないで、サスケとハンゾーは楽しそうに言う。

「ついてくんなよ間抜けコンビ」

平然を装い、そう拒否したのに……、





「も〜 デートに他の子連れてくるなんて最低だぞっ☆」

待っていたのは、昨日よりもふざけた様子の蝶だった


彼女のことは何もわからない。
ただ『手合わせ』とやらを望んでいる。昨日のような。

だったら、サスケたちを傷つけたりはしないだろう。

そんな結論に至り、カラスはいつも楽し気に笑うクラスメイトたちがついてくるのを、無理には止めなかった

「何がデートだよ」

昨日はあんなに興味なさそうだったくせして

カラスは複雑な気持ちを抱えたその時初めて、クラスメイトの顔色に気づいた



 
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