ミルモでポン!長編

□そこらじゅうにノコギリソウ
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『あっはははっ!!
そんなおっかない顔すんなって
怒ることねぇ、泣くことねぇ。
笑えよ!ただ俺が死ぬだけだ!』










「――リルムっ!!」

『蝶』によって、リルムは悲鳴と共に吹き飛ばされ、ミルモがかけよった

ダメージはあるものの、リルムはパッと顔をあげ、いつものように嬉しそうな笑みを向ける

「ミ、ミルモ様!どうしてこちらにっ?」


カラスは、ただ立ってリルムとミルモを傍観している蝶を見る。

「忍者…?」

蝶がカラスに気づくが、興味ないと言いたげな冷たい目をしてからまたリルムへ戻した。

「勝負あったね、リルムちゃん?」

「そうですわね。私の完敗ですわ〜」

そう笑うリルムの前にミルモが立つ

「どういうつもりだ」

強い眼差しを受けても、蝶は薄い笑いを崩さない

「ただの手合わせさ。女の子を痛ぶるシュミはないよ、たぶん」

「なんでリルムを!」

「強いって聞いたからだよ。なに熱くなってんの?バカみたい」

「強い奴とやりてーなら、今度はオレが相手だ!!」

「ミ、ミルモ様…!?」


いくらリルムが笑っていたとしても、ミルモは彼女を傷つけたことが許せない

敵意を向けるミルモに、初めて蝶の表情が崩れた


「……ウッゼー」


ゾワリ、と空気が変わる
その場全員の恐怖心が掻き立てられる

「別に死んだわけじゃねぇだろ
なにそんなキレてんの?あー、うざったい

お前も、リルムちゃんも」


蓋をしていた憎悪という感情が溢れ出る
ミルモが無意識に足を一歩退くが。


「んじゃ、私帰るー」

再び空気が一変…否、戻った。
ケータイを取り出して、ミモモショップへ繋ぐ蝶に、一番警戒してたミルモはズルリと転びそうになった

「お…おいっ!」

「キミ、ミルモでしょ?王子だか何だか知らないけど、キミはいらないやー」

「なんだそれ!眼中にねぇってか!?」

「そだね」

さらりと述べたところで、クモモがマグカップを持って現れたので、身軽にマグカップへ移る。

「ま、待つでしゅ!!」

「やだー」

ムルモのストップも一蹴りし、妖精界に帰っていった
辺りはいつもの平和な風景に戻る

「なんだあのふざけた奴は……」

カラスがぽつりと感想を述べ、ムルモを一瞥した







忍者村に戻ってきたヤシチたちを待っていたのは、不可解な事実だった



 
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