ミルモでポン!長編

□隠しているのはサワギキョウ
1ページ/4ページ





六時限目の終了を教えるチャイムが鳴り響く

家庭科室では相変わらずミルモが放心していた

「……オイ、そこの暇そうなの。ちょっといいか?」

ミルモはだるそうに顔をあげる。

「妖精捜してるんだけど、オマエ知らねぇ?」

見たことある顔。
どこでだっけ。

ぼんやりとした意識は、ハッキリしたものに変わった

「…カラス!」

真っ黒い忍者服に目付きの悪さが印象的だったので、ミルモは思わず声をあげた

「……どこかで会ったっけ?」

パチパチと瞬きをするカラス。
あの時、楓と一緒に遠くから眺めているだけだった自分を、カラスが知るわけがないので、どう誤魔化そうかとミルモは目をそらす

「あ、ああ……えっと、桃から聞いたことあるんだ」

「……そうなのか?」

間違ってはいないが、微妙につじつまの合わない発言。
とりあえず自分の名を名乗り、誰を捜してるのか尋ねた。

「帽子に触角生えてる奴。ムルモっていうんだけど」

「それ弟だわ」

「……ああ…、オマエが……」

「あん?」


対するカラスは以前、ムルモと偶然会い、お互いの兄や姉の愚痴を言い合ったことがある。
微かな面影に納得がいった


「ムルモに歴史の教科書貸してくれって頼まれたから持ってきたんだよ
ここにいるって聞いてたのに……」

何故教科書?

「歴史の教科書ならアイツも持ってるんじゃねぇのか?」

「一番新しいやつがいいんだとよ」

「お友達に頼み事しといていなくなるなんて全くあの子ったら!」

プンプン!と何故かオバサン口調で喋る友人の兄に、ツッコむべきかどうか悩んだがやめた

「帰っちまったんじゃねぇかな?案内してやるよ、行こうぜ」

「あ、ああ。頼む」









「どえりゃあ!!」

夕暮れの公園。
リルムは女の子にパンチやキックを繰り出した。
女の子も殴られ、蹴られてるのに、少しよろけるだけで倒れる気配はない。




『キミがリルム……だね?』

少し前。
女の子はリルムの目の前に立った

『そうですけれど……あなたは?』

『私はただの気まぐれ者さ
キミと是非お手合わせしたいと思って』

女の子は柔らかく笑った。
戸惑うリルム

『え、でも何故私と……?』

『キミは中々強いと噂を聞いたんだ。
全力でかかってきてくれて構わないよ』


『あ、はい…私なんかでよければ……
期待に応えられそうにありませんが、精一杯がんばりますね!』



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ