ミルモでポン!長編

□咲きほこるはアザミ
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強い、光


何が光ったのかさえもわからず、目を細める



駆けつけたヤシチとユミヤは目をチカチカとさせながら、現状を把握しようと光が収まった一帯を見る。


目に映ったのは非日常だった


地面に貼りつくように倒れてる忍者たち

緑をとられた木は横になり

地面はまるで焼け焦げたような跡を残している

先ほどの音と共に土煙をたてたのは家だろう。
まだ細やかな土を空へと飛ばす、崩れた家がそこにあった。


「なんなのだ、これは…」

初めて見る景色にやっと出した声も震えた。
ユミヤも動揺し固まっている
そして、胸騒ぎの答えもそこにあった

「…ヤマネッ!?」

忍者に混じって、うつ伏せに倒れるヤマネと、それを呆然見るサスケとハンゾーの姿を確認し、駆け寄る

サスケたちが泣き出しそうな表情で顔を上げた


「兄貴……」

震えた声、体。
一体何があった。一体何を見た。
混乱する頭は澄んだ声で我に返る


「ケガの匂いがするわ」


どこかで聞いたことがあるような台詞が聞こえ隣を見ると、カモメが当然のように立っていた


「うわっ!?」

「はい、こんにちは」

別に挨拶をしたわけではないのだが…
そう返すカモメの表情はどこか違っていて、忍者たちを見渡すと通信機を取り出した

「忍が数人、地区3-Bにて負傷。応援願います」

早口言葉のように仲間に伝えると、しゃがんでヤマネを仰向けに転がす

手をかざすと、そこから水色のやわらかい光がヤマネをつつむ。
何をしてるのか知りたそうなヤシチたちに気づくと、カモメが静かに口を開いた

「…治癒魔法よ。これでヤマネちゃんを治してあげれるから」

カモメの本職を思い出したサスケとハンゾーが共に安堵したがヤシチは不信な顔をする

「…が、楽器も使わずにか?
あれがなくて何故魔法なんか……」

手放しで安心することは出来ない
カモメは治療したまま

「…楽器は魔力を通すことで魔力を増幅させ、魔法を発動する
そうすることで魔力の消耗が軽くなる…
 だから楽器が絶対必要ってわけでもないわ。
修行積めば楽器がなくても使えるの」

「それってすごいぜ…」

「そんなことないわよ。物を動かしたり出現させたり、アイテムを作動させるとなるとかなりの魔力使うことになるから、治癒の時以外はオススメできないのよ」


「なら何故、楽器を使って治療しないのだ?
その方が楽なら、ヤマネも皆もすぐ治るだろう?」

「治癒魔法は魔力と、それから己の体温が必要なの。
楽器だと体温伝えられないのよ、なら手で直接やった方がいいじゃないかって。ねっ?」

「なんで体温なのね…?」

「昔からそうって決まってるんだから仕方ないでしょ」


カモメがそう言い、治療を止める。
どうしたのか聞こうとしたその時

ヤマネが目を開けた。

「ヤマネ!」

「よかったのら〜!」

「わ、ヤシチあにさま…!
何故ここに…」

さっきまで気絶していたのが嘘のように頬を赤らめ、慌てるヤマネにサスケが最後のチェック。

「ヤマネ大丈夫かだぜ?もうどこも痛くないか?」

「……ええ、大丈夫でございます」

倒れる寸前の記憶が蘇ったのか、声のトーンが落ちた。


 
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