ミルモでポン!長編

□いってらっしゃい!
1ページ/3ページ




嫌いな者にダラダラと過ごされ、カラスは非常に機嫌が悪かった。
ブツブツ文句を垂れながら、念入りに掃除を始める

もう二度と来るなという言葉は上機嫌で帰って行った奴らにちゃんと届いただろうか

「くっそ腹立つ!」

虫眼鏡まで使って(主にヤシチがいた場所に)埃がないかチェックするカラスもお構い無しに、カモメは時計に目をやると

「…カラスー、おやつの時間よー
おやつまだー?」

先刻あれほどの量を食べておきながら、腹の音を鳴らす

「今 除菌中ー」

除菌スプレー片手のカラスが呆れて返した


「……今日ね、ネズミさんが帰って来たの」

「…浮かれてた原因はそれか」

「…浮かれてた?」

「なんとなく」

「さすがカラスね」


カモメは食べているときとは違う笑みを浮かべた。






翌日の妖精界。


いつもなら修行時間になると、誰よりも来ていたヤマネ。

そんな彼女が今日、修行時間を過ぎても現れなかった。

まさか風邪をぶり返したのではと思い、サスケとハンゾーを人間界においてヤシチは様子を見に来たのだった。



ネズミの家まで来ると、見えたのは二人の兄妹の姿。


「ヤマネ!…それにネズミ」

「あ、ヤシチあにさま!」

ヤシチが駆け寄ると、ヤマネは嬉しそうに声をあげ、ネズミはクールな顔をこちらに向けた

「何用でござるか?」

「ヤマネを迎えに来たのだ
お主たちこそ何しておるのだ?」

ヤシチが答えると、ヤマネがポニーテールを揺らして頭を下げた。

「申し訳ございません…
にいさまが再び旅に出るので、その見送りをと思い…」

顔は見えないが、申し訳なさそうなのは声色でわかる。
遅刻の理由を聞くとヤシチは安心したように笑った

「まあ元気そうでよかったのだ」

「あっ、はい!やはりカモメ殿はすごいのでございます!」

ヤマネも顔を上げてそう言うが、ネズミは何の反応もなしに背を向けて歩き出した


「それじゃあ拙者は行くでござるよ」







門まで見送るのだとヤマネが言うので、別に来なくていいと言うネズミを無視してヤシチもついていく。

少し歩いて、見えてきたのは門と1人の妖精だった。



 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ