ミルモでポン!長編
□マツバギクは最初だけ
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「ヒマなのね…」
ユミヤが窓の外を眺めてぼやいた。
青い空を横切っていくギャアが一羽。
BGMは甲高い女性の声。
「〜…年。これは長い歴史から見れば、つい最近にも思える出来事ザマスね」
ヒマって今歴史の授業中じゃないですか
「この年には、一部の妖精忍者が離反し、それが原因で離反した忍者が殺されるという内部分裂の事件が…ってユミヤさん!?
聞いてるザマスか!?」
ザマスがいつものように怒鳴る。
ユミヤはめんどくさそうに顔を戻した
「今日はまだ寝てないのね!」
「居眠り前提ザマス!?」
その言葉がザマスの中の歯止めを外したらしく、その日居残り勉強という厳しい処分をいただいてしまった。
「なんでなのね……?」
夕暮れの教室、1人で書写。
もう飽きてきたので帰ろうかとも思ったが、そんなことした次の日には更に倍の課題が出されることは目に見えている。
「夕日が綺麗なのねー」
明日も晴れるだろう。
ユミヤはまた窓の外を眺めた。
自分の背後に、誰かが立っている事にも気づかずに。
翌朝の人間界の学校。
家庭科の時間。調理内容はお菓子。
楓がミルモのためにチョコクッキーをこしらえている。
量がやけに多いのは、結木とリルムにもわける予定だからだ。
「チョコクッキー!わーい、わーいチョコクッキー!」
「中々いい感じ!もうすぐ出来上がるよっ」
焼けていくクッキーを眺めるミルモと楓の元に、ムルモがやってきた。
「ほえー、甘いにおいがすると思ったら、楓しゃんたちのクラスは調理実習でしゅか〜」
「やあやあ食いしん坊のムルモくん!
オメーの分はないぜ」
「いいでしゅよ〜
ボク見に来ただけでしゅから
わがままなお兄たまと違って、ボクはガマンするでしゅ……!」
イヤミを言いながら、楓にアピール。
楓も健気(に見えた)なムルモに
「大丈夫よ、ムルモちゃん!!
多めにあるから!ムルモちゃんの分もあるからっ!」
「わぁっ!嬉しいでしゅ〜〜」
「なんだよ、結局もらってんじゃねぇか!
あげることねぇよ、全部オレが食うのに…」
余り物枠を確保したムルモは、ミルモに黒い笑みを向けた
「間抜けお兄たまざまあみろでしゅ」
馬鹿にされ、たまらずに兄弟ゲンカ勃発。