ミルモでポン!長編

□おじゃまします
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「相変わらずだな、カモメ殿」

「えへへっ」

ネズミに追い出された後も、未だに嬉しそうに笑みを溢すカモメに、ヤシチは呆れ気味に笑った


「カモメさんは、ネズミさんのことがだいすきなんだぜ?」

「…うん」

どっちの意味で聞いてるのか分からないサスケだが、カモメは笑顔で肯定した。

「今日は何て良い日なのかしら。
あのひとが村に帰ってきた
元気そうでよかった!」

ウキウキと歩くカモメに、「でも、」とハンゾーが口を開いた。

「ネズミさんはうっとおしそうにしてたのら。
そんなひとのこと、だいすきでいられるのら?」

「いられる。」

断言してから、くるりと回ってハンゾーを真っ直ぐ見る

「スキって気持ちが止まらないんだもの。
それで嫌われるのは仕方ないわ。
恋は幸せな持病なんだから」

なんてバカ明るく笑うんだろう
頭の中は花でいっぱいに違いない
好きなひとに冷たくされても、「元気でよかった」と笑えるなんて

「…ボクにはまだ早い話みたいなのら」

それがハンゾーには理解出来なかったらしく、首を傾げた。


「はー、喜んだらおなかすいちゃったあ」

カモメのその言葉にヤシチは腕の時計を見て、もう昼であることを伝えた。

「3人とも、あたしの家でゴハン食べていかない?」

「行きたいぜ!」

「行きたいのら!」

誘いに元気よく乗るサスケとハンゾーに比べ、ヤシチは申し訳なさそうに笑っていた

「何か悪いのだ」

「気にしないで。
あなたたちが来れば、弟もきっと喜ぶわ」







「何でつれてきた!!」

カモメの笑顔に負け、ついていくと
出迎えてくれたのはカラスの怒声だった。

「ほら、喜んでるでしょう?」

「怒ってるの間違いではないか?」

喜怒哀楽の読み取りを果てしなく間違えるカモメは、ヤシチたちに家に入るよう促した。



「カラスのごはんはおいしいわよ〜」

食卓につくと、カラスがぶつくさ文句を垂れながら台所と思われる方向へ向かったので、サスケが質問した。

「カモメさんがつくるんじゃないのか?」

家庭的なイメージから、てっきりカモメが腕を奮うのだと勘違いしていた。



 
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