ミルモでポン!長編
□おかえりなさい!
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待たせる方と待たされる方。
つらいのはどちらか。
そんなの当事者たちにしか分からない
かもしれない。
「うむ……熱があるな」
妖精界のネズミの家。
と言ってもネズミはおらず、父母もいない。
いるのはヤシチ、サスケ、ハンゾーと、床についているヤマネだった。
「どうかご心配なさらずに……。
私が体調管理が出来てないから夏風邪をひくのでございます……」
「それは違うぜ!」
真っ赤な顔で苦しそうに笑うヤマネに、サスケが反論した
「また魚に釣られた兄貴を助けようと、川に飛び込んだのが原因だぜ!」
「またって言うな。」
「だからヤマネは悪くないぜ!」
「……ありがとうございます
でも、本当に原因がそれなら、あにさまのお身体の具合は平気でございますか?」
「拙者は至って元気だぞ」
カラカラ笑うヤシチに安堵するヤマネだが、サスケとハンゾーは小さな声で
「やっぱりあの迷信はホントだぜ」
「なのら〜」
「ヤマネ、だいじょぶなのら〜?」
馬鹿じゃないヤマネを心配して眉を下げるハンゾーに対し、ヤマネはまるで年下の子どもをあやすかのように笑った。
「しばらく横になれば…すぐに良くなるでございます」
「しかし、夏風邪は馬鹿にできんぞ
ネズミの奴……妹がこんな状態なのにどこフラついているんだか」
「お気になさらずに。
じきに母上や父上が帰ってくるでございます」
「風邪の匂いがするわ」
反射的に振り返る。
今のは一体誰の声?
白い忍者服を纏った女の子。
どうやらヤシチたちより年上らしい。
いきなり登場した女の子は、呆気にとられるヤシチたちも気にせずに、救急箱をどこからともなく出した。
漁った末、取り出されたのは1つのカプセル。
「即効性よ。飲んでみて」
にこり。
優しく笑う女の子からそれを受け取ったヤマネは、ゆっくりと飲んだ。
「…ありがとうございます、カモメ殿」
「ヤマネちゃんとヤシチくんにこうして会うのは久しぶりね」