ミルモでポン!長編

□恋のキューピッドの我儘
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様々な特殊能力をみせる矢。
でも、引っこ抜いてしまえば簡単に元に戻る。


あっけない解除法が解ったとしても、
混沌の種を撒き散らす犯人、ユミヤを捕まえなければ意味がない。


廊下に出ると、ユミヤが名簿をチラチラ見ながら、ハートの矢に名前を黙々と書いていた。

「いましたわ!」

リルムの声にユミヤは、ヤシチたちがいる反対に逃げた。
忍者のような(忍者だけど)身のこなしで矢を生徒たちに定期的に放つ

被害者は増える一方だ。
しかしいちいた矢を抜いてたら逃げられる。

ヤシチたちも走って追いかけた。


「ムルモでポン!」

器用なムルモが魔法を使う。
ユミヤの前方に網が現れるが、ひょいと避けられた

「びっくりしたのね…っ」

「ミルモでポン!」

「わっ!!」

バナナの皮を出現させてもギリギリで避けられた。

「惜しいなぁー」

「惜しいなぁではないだろ!」

「そんな古典的な罠に引っ掛かるのはお兄たまぐらいでしゅ―――」

言いながら、ムルモはミルモの出したバナナの皮で滑って華麗に転んだ


「この兄にしてこの弟だな」

「どういう意味だよ!!」

「どういう意味でしゅか!!」

走りながら納得するヤシチに、ムルモが追いつく。

「リルムでポォン!」

「ヤマネでポンっ!」

漫才をする男共を放置して魔法にはげむ女子たち

しかし、現れたのは紙と小さなどんぐり。

「アミを出そうとしたら、カミを出してしまいましたわ!」

「……精進いたします」




もうそろそろ行き止まりだ。
ユミヤはすぐ目に入った空き教室の扉に、先端が黒い丸模様の矢で弓構えして放つ。
矢は扉に当たると、爆発した。

煙も消えないうちに、扉が壊れた教室へ入っていった。


ヤシチたちも続けて入る。

「この教室って確か……」

リルムが1人呟いた。




教室の中は真っ暗だった。
少し歩くと、前方にユミヤの姿を確認する。
ヤシチは駆け寄った

「おい、ユミヤ!」

呼び掛けにも反応せずに、天井を見ている。
ヤシチもなんとなくそちらへ視線を向けると、そこには

「ででででで出ぇぇぇたあああああああああ!!!」


他の誰よりも反応が速かったミルモは真っ青な顔で後退りした。



 
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