ミルモでポン!長編

□頑張れや
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立てられた2つのマト、手には三枚の手裏剣。

何故、こんな状況に陥ってしまったのか、考えるのも面倒に感じる喉かな天気。
川の水が光に反射して、キラキラしていた。



「勝負のルールは、僭越ながら私が決めさせていただきました」


ヤマネが程よい距離をとって、ヤシチとカラスにルール説明。

「お二方は自分のマトに、三枚の手裏剣を投げて下さい
真ん中に多く的中した方の勝利となります」

いつもやってる修行と同じなので自信たっぷりなヤシチ。
やる気に満ち溢れている。

そんなヤシチを見て、カラスは息をのみ自分のマトを睨んだ




「これって大チャンスじゃない!?」

傍観を決め込んでいる桃が声をあげる。

「ここであの子よりカラスの方が強いって証明できれば、ヤマネの好感度も上がっちゃうわね!
さあさあヤマネ!それでもあなたは、一途な少女でいられるかしらー!?」

「(ほんとヤマネちゃんをどうしたいんだろ……)」

「ミルモ!カラスに勝たせなさい!」

その命令にミルモは顔をしかめていた。

「あー、それはムリだわー」

「なんで?絶好のチャンスよ?」

「成り行きだろうとなんだろうと、これは勝負だ。
手ぇ出すワケにいかねーよ」

アイツに怒られたくねぇし。
そう呟くミルモに、桃は「でも…」とまで言って黙り込んでしまった。
まだ割りきれないらしい。

「大体、勝ったとしてもヤマネが惚れるわけねーだろ
そんな嘘っぱちなやり方で」

なんの意味もないと糺され、桃も完全に黙る。

楓が安堵のため息を漏らした




「――始めて下さい!」

ヤマネの声に、ヤシチは手裏剣を投げる。

一枚目はマトに当たりはしたが、真ん中とはいえない。
なんだかかなり逸れてしまった

呼吸を整えて二枚目。これは真ん中に当たる

内心でガッツポーズをとってから三枚目を投げようとしたその時、風が吹いてヤシチの鼻腔をくすぐった。

「……へぶしっっ!!」

その衝動に乗って、手裏剣はマトへぐんぐん飛んでいき……
あえなく地面にポトリと落ちた。


 
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