ミルモでポン!長編
□土曜日の昼下がりに女王様の我儘に付き合わされる彼女の心情を答えなさい
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「やっぱり、少しは仲良くさせるべきだと思うの」
桃はクリームソーダにつっこんだストローから口を離した途端に言った。
「……そう、なんだ」
梅園経営のとあるファミレス。
桃はそこに彼女を呼び出した。
「まあ、その年でコーラなんてお飲みになってる、お子ちゃまな楓お姉ちゃまには解らないかもしれないけれど」
わざとらしくため息を漏らし、頬杖をする小さな女王様。
しかしその姿も可愛らしい。
楓はただ膝に手を置き、背筋をピンと伸ばして目の前のコーラを見つめていた。
休日の昼下がり。パートナーもどこか遊びに行き、久々にのんびりと過ごしていた楓だったが、
突然マンションに桃のボディーガードの1人がやって来て、有無を言わさずに車に乗せられ、
わけもわからず案内されると そこにはムスッとした桃が座っていた。
昨夜、カラスという妖精がやって来た。彼はヤマネの事が好きなのだと
嵐のような勢いで話された楓は、困惑しながらとりあえず笑っておいた。
「に、日本茶も好きだよ……」
「楓おばちゃまにはピッタリね」
クスリと笑って、メロンソーダに浮いてるバニラアイスを一口。
楓の笑顔がひきつる。まだそんな年じゃない。ピッチピチだと。
「それで……桃ちゃんは、ヤマネちゃんとカラスくんをどうしたいの?」
「なあに、その言い方。
まるで桃が間違ったことしてるみたいじゃない」
楓は桃が苦手だ。
楓を嫌ってるのを隠しきれてない。
いや、隠す気すらないのだろう。
そういうわけじゃないけど。
そう言ってから、楓はコーラで喉を潤した。
「なにもくっつけようってワケじゃないの。
ただ、あの妖精にチャンスを与えたいだけ」
「チャンス?カラスくんに?」
「ヤマネには意中の殿方がいるのは、あなたも知ってるわよね?」