ミルモでポン!長編

□いっぱいいっぱいでした
1ページ/4ページ



思わず深呼吸をしたくなる快晴。
ヤシチは弟子を集めて、人間界のいつもの土手で修行を始めた。


「よーし、おまえたち!あのマトに手裏剣を当てるのだ!」

ヤシチがマトを指しながらそう言うと、サスケとハンゾーが意気込む。
だが、二人が投げた手裏剣はマトよりも上へ行ったり、横へ行ったり……

「う〜ん」
「むずかしいのら〜」

サスケとハンゾーが感想を言う

「次は私でございます!」

ヤマネも手裏剣を構える


結果はもちろん、本来師匠であるはずのヤシチが拍手するものだった

そんなヤシチの様子にヤマネは頬を赤らめる。


ヤシチの傍にいたいという理由でパートナーと契約をした。

ヤマネ自身も、そんな動機でうまくやっていけるのかとは思ったが、
実際パートナーである桃と目的のヤシチとは、良い意味でも悪い意味でも安定した日々を過ごせている。

それがヤマネには幸せでもあった


「すいませ〜ん」

不意に、そんな声が聞こえた。

一同が振り返ると、節穴からトコロテンのようにゆるりと出てくる、妖精宅配サービス。

ヤシチたちはキョトンとした。

ホラーな登場にはもう慣れっこだ。

しかし、この顔色の悪い女性が手に持っている青いマグカップは一体誰のだろう。

白い腕がゆるゆると伸びてきて、ヤシチたちの前にそのマグカップを置いた。


「すいませ〜ん」

同じ台詞をもう一度言うと、節穴に戻っていく。

何故あそこを今回の出入口にしたのだろう……


ご苦労様と声をかけてから、見覚えのない青いマグカップに向く。


すると、中から黒い忍者服を纏った少年が顔を出した。

再びヤシチはキョトンとした。
自分の知らない少年だ。



「あーっ カラスだぜ!」

「カラスなのら〜」

サスケとハンゾーが声をあげる
喜んでるようでもなく、怒ってるようでもなかった。


「知ってるのか?」

「カラスはオイラたちのクラスメイトなんだぜ!」

サスケのその紹介に、思わず少年とサスケたちを交互に見た。
怒っているのだろうか。少年は鋭い目付きで睨んでくる。
でも背は低いので、どうやらサスケの言ったことは嘘ではないようだ。

「ヤマネ。お主は知ってるのか?」

少年からの痛い目線から逃れるようにヤマネに話題を振る
痛い目線は変わらないどころか鋭くなった気がした


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ