ミルモでポン!長編

□それは、つまり
1ページ/4ページ





翌朝。


今の感情を言葉で表すなら、
それはつまり、心配 だった。

自分とヤシチはイトコで、親戚の集まりなどはよく遊んだり
お互いの家に行き来したりしてた。


それなのに、自分も知らなかった、幼馴染みの女の子の存在。

それだけで、ヤマネの頭の中はぐるぐると棒でかき混ぜられた。

浮かぶ考えを否定するように、頭をぶんぶん右へ左へ振る。

先ほどからこの繰り返し。


「ヤマネ!行くわよっ」

ハキハキとしたハンゾーに似てない気もしない声。
振り返ると、私立校の制服を着た、大きなリボンが印象的の少女・桃がいた。

「今日は早めに出て、愛しいあの殿方と通学路を共にするのよっ」

通学路を共にする と言っても途中までだ。
でも、そんな僅かな時間でも会いたいと思うのが恋なのだとヤマネは桃から学んだ。

「分かりましたでございます!」




途中で車から降りて、桃の肩に乗って少し歩く。

すると前方には、見知った四人の後ろ姿と、見知った四人の妖精。

ヤシチの姿も確認し、ヤマネも心を踊らせる。

桃は走り出した

「お兄ちゃま〜〜!
摂お兄ちゃま〜〜!」

………………

「へ?」

聞き慣れない単語…というか名詞が出た。

桃はそのまま松竹ではなく、結木に飛びついた

「も、桃殿っ!?」

ずっと出番がなくて、好きな相手は松竹 という設定まで忘れてしまったのだろうか。

てゆうかその人、下の名前が「ゆうき」じゃなかったの?
などとヤマネは要らぬ考えを持ち出す


「お、おい……」

「桃殿!どうされたのでございますか!?」

当然結木くんも困惑。
ヤマネも困惑。

「結木くんから離れてよ〜〜!」

桃を引っ張ってはがそうとする楓……ではなかった。


これはつまり、混沌だった。


桃を引っ張ってるのは、何度 目をこすって見ても、松竹だった

「カオルおにいちゃま……??」

ヤマネが松竹を呼んでも、何の反応も帰って来ない。
しかも松竹には安純がひっついている


自分が恋に悩んでる間に、一体どんな進展の仕方をしたのだと聞きたくてたまらなくなった。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ